菅官房長官「携帯料金は大幅な引き下げの余地がある」、総務省の見解は?
菅義偉官房長官が、6月30日の会見で、日本の携帯料金は依然として高く、値下げの余地があるとの考えを示した。「東京の料金水準は、諸外国と比べて依然として高い水準にある」と指摘する。2年前の「4割値下げの余地がある」件については「まだまだこれからだと思っている」とコメントした。
菅義偉官房長官が6月30日の会見で、日本の携帯料金は依然として高く、値下げの余地があるとの考えを示した。
菅氏は、総務省が同日に公開した「電気通信サービスに係る内外価格差調査」のデータを持ち出し、「東京の料金水準は、諸外国と比べて依然として高い水準にある」と指摘する。
この調査は2020年3月時点における、携帯電話や固定回線の料金を各国で比較したもの。その中でMNOのスマートフォン料金を見ると、シェア1位のキャリア(日本ではNTTドコモ)の場合、東京の料金(税込み)はデータ容量2GBが5150円、5GBが6250円、20GBが8175円となっており、ニュヨークとは大差ないが、ロンドン、パリ、ソウルなどと比べると高い水準になっている。
菅氏が2018年に残した「携帯電話料金は4割値下げできる余地がある」というコメントに端を発して、各キャリアは料金プランを改定し、値下げに踏み切った。また2019年10月には電気通信事業法を改正し、通信と端末の分離が義務化され、解約金の値下げや撤廃も敢行された。
それでも菅氏は「大手3社の利益率も20%と高止まりしていることから、大幅な引き下げの余地があると考える。大手3社がシェア9割の寡占状況、これも全くと言っていいほど変わっていない」とコメントし、現状の施策では不十分であるとの認識を示した。2年前の「4割値下げの余地がある」件については「まだまだこれからだと思っている」とした。
高市早苗総務大臣は6月30日の記者会見で、内外価格差調査の結果について「シェア1位の携帯電話事業者のスマートフォンの通信料金を見ると、東京の料金水準は昨年(2019年)に比べて低廉化してきているが、諸外国と比べれば依然として高い水準となっている」とコメント。一方で、改正電気通信事業法を踏まえた各社の料金プランを比較すると、「期間拘束のない大容量プラン」については、2019年4月から3割程度安くなっているとの認識を示す。
「大手事業者の一部では、楽天モバイルに対抗して、サブブランドの料金プランを見直す動きも出てきている。今後、楽天モバイルのエリア拡大や、MNOからMVNOへの卸料金の適正化を契機に、事業者間の競争が、より一層本格化していくと考えている」と期待を寄せた。
関連記事
- 根拠に乏しい「携帯料金4割値下げ」 MVNOつぶしになる恐れも
菅官房長官の「携帯電話料金は4割値下げできる余地がある」という発言に、モバイル業界全体が困惑している。なぜ4割値下げできると豪語しているのか、さっぱり理解できないからだ。仮に4割値下げしたら、どのような影響があるのだろうか。 - 総務省はなぜ「分離プラン」を徹底させたいのか? 電気通信事業部長に聞く
2019年のモバイル業界は、通信料金と端末代金を分けた「分離プラン」によって変わろうとしている。分離プランでは、通信契約を伴う端末代金の割引や、端末購入に伴う通信料金の割引が禁止となる。総務省が分離プランを推進する狙いはどこにあるのか? - 解約金の値下げ、端末割引と長期利用割引の規制――総務省の新政策は何が問題なのか?
総務省が研究会で提案した「解約金1000円」「端末割引2万円まで」「長期利用割引の規制」は、寝耳に水という印象。「1000円」「2万円」という数字はいずれも根拠に乏しく、構成員からも疑問の声が多く挙がった。総務省が提示した制度案の問題点を整理する。 - 改正電気通信事業法は10月1日施行 関連省令とガイドラインも同日施行へ
5月に成立した改正電気通信事業法。6カ月以内の施行を明記していたが、8月27日の閣議で、その期日が10月1日となることが決まった。これに伴う総務省令とガイドラインも、同日施行となるように調整が進められている。 - UQ mobile、“楽天モバイル対抗”の新料金プラン「スマホプランR」を提供 月間10GB+低速時は1Mbps
UQコミュニケーションズが5月25日、MVNOサービス「UQ mobile」の新料金プラン「スマホプランR」を6月1日から提供する。月額2980円(税別)で10GBの高速データ通信を利用できる。10GBの超過後、または高速通信をオフにした際に1Mbpsの速度となるのも特徴だ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.