5Gスマホの4台に3台は中国メーカー、1万円台の激安モデルも間もなく登場:山根康宏の中国携帯最新事情(2/2 ページ)
調査会社カナリスは、2020年第2四半期のスマートフォン出荷台数でHuaweiがSamsungを抜き初の1位になったというデータを発表した。Huaweiは既に5Gスマホ市場でシェア1位になっている。2020年下半期には、中国メーカーから1000元(約1万5200円)以下の「激安5Gスマホ」が登場する見込み。
下半期には1000元(約1万5200円)以下の「激安5Gスマホ」が登場
この新製品ラッシュは2020年下半期も続くだろう。価格も2000元(約3万円)を切るモデルが10機種以上も出ており、1699元(約2万5800円)のHuawei「Enjoy Z 5G」や1599元(約2万4300円)のXiaomi「Redmi 10X」など2万5000円程度で買える製品も販売されている。だが低価格化は止まらずに進み、下半期には1000元(約1万5200円)以下の「激安5Gスマホ」が登場する予定だ。
Enjoy Z 5GやRedmi 10Xは台湾MediaTekの5G向けプロセッサ「Dimensity」シリーズの低価格製品である「Dimensity 800」「Dimensity 820」を採用している。Qualcommも価格を抑えた5G向けプロセッサ「Snapdragon 765」を出しているが、同プロセッサを採用したスマートフォンはEnjoy Z 5GやRedmi 10Xほど価格を引き下げることはできなかった。
そこでQualcommはMediaTekに対抗し、「Snapdragon 690」を6月21日に発表。シャープ、LG、モトローラ、HMD Global(Nokia)、TCL、Wingtech(2019年のODMスマートフォンメーカー1位、カウンターポイント調査)などが採用を決めた。今後これらのメーカーから2万円台の5Gスマートフォンが登場するだろう。
Qualcommの動きに対してMediaTekも7月23日に「Dimensity 720」を発表。こちらはXiaomiとOPPOが採用を決め、OPPOは早くも「A72」(中国版)を1899元(約2万8800円)で発表。OPPOはXiaomiやHuaweiの格安端末市場には参戦せず「価格よりも品質や性能」を重視していたが、MediaTekの低価格プロセッサの採用でついに「OPPO初の2000元切り5Gスマートフォン」を製品化した。
今後、Xiaomiが出してくるDimensity 720搭載の5Gスマートフォンはさらに安く1000元台前半、あるいは1000元を切る価格となるだろう。Xiaomiが2000元を切る1999元の5Gスマートフォン「Redmi K30 5G」を発表したのは2019年12月だった。それから約1年で5Gスマートフォンの価格は半額まで下がろうとしている。ここまで安くなれば中国の消費者ももはや4Gスマートフォンを選ばず5Gスマートフォンを選ぶだろう。その結果、5Gユーザー数が世界一の中国で、中国メーカーの5Gスマートフォンの出荷台数も伸びていくのだ。
中国メーカーの5Gスマートフォンは格安モデルから高画質カメラを備えたハイエンドモデルまで種類が多く、今後は日本を含む先進国でも次々と販売されていくだろう。その勢いに他のメーカーはどう対抗していくのか。9月以降に各社から発表される2020年秋冬モデルにその答えが見えてくるだろう。
関連記事
- 中国の5Gスマホ販売数は5G契約者の約半数 その理由はiPhoneにあり?
中国の5G契約数は約1億だとみられている。低価格な5Gスマートフォンの登場により、中国の消費者の興味は5Gにフォーカスしているが、5G契約者でも4Gスマートフォンを使っているケースがある。中国でも人気の高いiPhoneが5Gに対応していないからだ。 - HuaweiとXiaomiが“激安5Gスマホ”で一騎打ちの中国 2万円台のモデルも登場
中国で発売されている5Gスマートフォンの価格競争が激化している。通常ブランドと廉価ブランドを分けて展開するHuawei、コスパスマホを投入するXiaomiが一騎打ちを繰り広げている。5Gスマートフォンの低価格化はこれからさらに拍車が掛かるだろう。 - 「5Gユーザー2億人の獲得競争」 中国メーカーが5Gスマホを積極的に投入する理由
中国メーカーの5Gスマートフォンが九族している。中国で販売されている5Gスマートフォンはハイエンドモデルだけにとどまらず、日本円で5万円を切る低価格モデルも出てきている。中国の5G市場が爆発的な伸びを示しており、メーカー間の競争がし烈になってきている。 - 5G時代はWi-Fiルーターが固定回線代わりに? HTCもルーターに活路を見いだす
4G対応のルーターは多数ありますが、通信速度は光回線にはおよびません。しかし5Gが実用化されれば高速なギガビット通信が手軽に使えるようになります。2019年に5Gを開始した海外のキャリアはサービスエリアを広げており、据え置き型やモバイルタイプの5G Wi-Fiルーターも既に販売されています。 - 5Gスマホ市場に価格破壊 Xiaomiが約3万円の「RedMi K30 5G」を中国で発売
Xiaomiが5G対応スマートフォン「RedMi K30 5G」を1999元(約3万1000円)で発売。5Gスマホ市場に早くも価格破壊が起きようとしています。中国の5G利用者を増やす起爆剤になることはもちろん、他の新興国でも5G利用のハードルを大きく下げる製品といえます。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.