「緊急事態宣言」解除後の携帯電話ショップはどんな様子? 話を聞いてみた:元ベテラン店員が教える「そこんとこ」(1/2 ページ)
新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく「緊急事態宣言」が解除されました。携帯電話の販売店の様子はどうなっているのでしょうか。数人の現役スタッフに話しを聞いてみました。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「緊急事態宣言」が完全に解除されてから3カ月がたちました。宣言中に営業を休止した店舗も多くは営業を再開し、元通りとまでは行かないものの、街を歩く人の数も増えました。
携帯電話販売店も、その点において同様です。キャリアショップでは3月末頃から時短営業や臨時休業といった措置を講じていましたが、6月からはおおむね通常通りの営業体制に戻りました。家電量販店や併売店(複数のキャリアを扱う携帯電話販売店)も、ごく一部を除いて平常通りの営業時間となりました。
しかし、携帯電話の販売に携わるスタッフに話を聞いてみると、「通常通りに戻ったように見えて、まだまだ厳しい状態が続いている」という声が多数を占めます。
一体、どういうことなのでしょうか。
感染拡大を防ぐための措置が「面倒臭さ」を演出?
緊急事態宣言が出たことに伴い、大手キャリアはキャリアショップの営業時間を原則として16時または17時までに短縮し、ユーザーには来店予約を強力に勧めました。NTTドコモやソフトバンクのように、ショップでの受付業務を制限する動きもありました。
未知の部分が多い感染症の拡大を抑制する観点において、このような措置は致し方ありません。しかし、ユーザーの立場からすると「ショップで手続きをしたいのに予約がいっぱいで行けなくて困る」「ショップでの受け付けを休止している手続きをしたいのに電話窓口が混雑しすぎていつまでたってもつながらない」といった不便さを強いる措置でもあるわけです。
6月に入って営業体制が元通りとなったことで、ユーザーに不便さを強いるようなことは少なくなった……と思いきや、複数のショップ店員から「お客さま目線に立つと時短営業や受け付け業務を制限していた頃とさほど変っていない」という声が寄せられました。
一体どういうことなのか、もう少し詳しく話を聞いてみました。
営業時間や受け付け業務こそ元通りになりましたが、ソーシャルディスタンスを確保する観点から待合席や受付カウンターの数を減らしました。また、来店の事前予約をしたお客さまを優先する取り組みをより強化しています。
結果として1日に応対できるお客さまの人数は、時短営業をしていた頃と大して変わりません。
ここ数カ月で、お客さまの中に「予約がないと(店頭で)手続きできない」というイメージが定着したようです。合わせて、Webや電話窓口でもできる手続きは多いという周知も進んだのかもしれません。
というのも、営業時間が元通りになったのに、私の勤める店では来店客数の減少傾向が続いているのです……。
感染拡大を防止するために取った措置が、来店客数の「回復」を妨げ、場合によっては「削減」につながっていることが分かります。
こんな声もあります。
重症化率は低水準ながら、再び感染が広がる傾向が見えます。
そのこともあって、買い換えの“きっかけ”として携帯電話販売店を使いづらくなったお客さまもいるんじゃないですかね。相談したくても相談に出向けないわけですから……。
これを聞いて思い出したのが、筆者の親戚から最近寄せられたこんな相談です。
最近、お店で携帯電話を買うのは行くのにも予約が必要で大変なんでしょ? お店以外で買う方法はないもんかね?
つまり、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために取った措置が「店頭(特にキャリアショップ)で端末を購入することは“面倒臭い”行為」という印象を強めてしまった可能性があるのです。
以前の連載でも触れた通り、携帯電話販売店の収益は、契約の成約や獲得などの「ノルマ」に少なからず左右されます。
ただでさえ感染拡大防止策の影響で来店数が減っている所に、「来店は面倒だ」というイメージが強く植え付けられてしまうと、ショップとしては苦しい状況が続いてしまうことになります。
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