世界初の“カラー電子ペーパースマホ”2機種の発色はどんな感じ?:山根康宏の海外モバイル探訪記
中国のHisense(ハイセンス)は世界初のカラー電子ペーパー搭載スマートフォンを販売しています。5.84型4096色表示可能なカラー電子ペーパーは、カラーで描かれた電子コミックや電子絵本の表示に適しています。Hisenseはこのカラー電子ペーパースマートフォンを2機種扱っています。画質はどれほどなのでしょうか
中国の大手家電メーカー、Hisense(ハイセンス)は世界初のカラー電子ペーパー搭載スマートフォンを販売しています。5.84型4096色表示可能なカラー電子ペーパーは、カラーで描かれた電子コミックや電子絵本の表示に適しています。また電子書籍でも見出しや注釈に赤や青の文字を入れるなど、表現力を高めることもできます。
家電メーカーが世界初のスマートフォンを出すのもすごいことですが、Hisenseはこのカラー電子ペーパースマートフォンを同時に2機種も発売したのです。一見するとどちらも同じ製品に見えるのですが、細かいところに差異があるので、そのあたりを見ていきましょう。
2つのモデルは「A5C」と「A5 Pro CC」。1300万画素のアウトカメラ+500万画素のインカメラ、ディスプレイ性能は両者同等です。A5CはプロセッサにSnapdragon 439を採用。A5 Pro CCはプロセッサに中国UNISOCのT610を採用、背面には指紋認証センサーを搭載しています。本体サイズは公式データが見当たりませんが、両社でわずかに違うようです。
本体底面を見ると、A5 Pro CCは左にイヤフォンジャック、右にスピーカーの穴が空いています。A5Cは右にイヤフォンジャックがあり、スピーカーの穴はなし。A5 Pro CCの方が上位モデルということなのでしょう。しかし価格はA5 Pro CCが1799元(約2万8000円)、A5Cが1699元(約2万6000円)と大きな差はありません。
こちらは背面の差。どちらもプラスチックの質感そのままの仕上げなので、傷から守るためにカバーの装着は必須と感じました。
さて、電子ペーパーの発色方法は、ディスプレイ上のドットそれぞれが発色する液晶や有機ELと全く異なります。電子ペーパーは色の付いたカプセルをドットの最上位に動かし、太陽光やフロントライトが当たることで表示が見えるのです。その仕組みは印刷した紙に近いのです。画面を書き換える際にそのカプセルを動かすため、どうしても残像が残りやすくなります。そこで電子ペーパーでは表示するコンテンツに最適ないくつかの表示モードを備えています。
A5 Pro CCは「Clear」「Balanced」「Smooth」「Speed」4つのモードを持ちます。ディスプレイ表示最下段の右側にある四角いアイコン(ディスプレイの形を表している)をタップすると、ディスプレイの明るさと表示モードの切り替え画面が出てきます。
A5Cは「Clear」と「Smooth」の2種類のみ。表示モード切り替えを出すと、「Clear mode」「Speed mode」の2つのモードがトグルで切り替わります。
Clearモードは文字や色の境界をくっきりとはっきり表示できます。しかし別の画面に切り替えると、前の表示が残像としてしばらく残ってしまいます。それに対してSpeedモードでは動画など画面の書き換えが激しいコンテンツでも、残像なく表示が可能です。しかしそれぞれの画面はClearモードと比べると輪郭が若干甘い感じです。BalancedモードはClearに近いながらも動画の表示もそれなりに見られ、Smoothはより動画の表示に特化している感じがします。
それでは実際に各モードでの表示の差を見てみます。A5 Pro CCの4つのモードで写真入りのWebサイトを表示してみました。Clearモードが最もざらつきもなくきれいに見えるようです。他のモードはWebページの表示では大きな差はないようです。
一方、動画を表示してみると、ClearモードよりSmoothモードの方が残像は少なく、それなりに見ることができます。液晶のようにクリアな表示ではないものの、カラー電子ペーパースマートフォンでも動画コンテンツをある程度楽しめそうです。
カラー電子ペーパースマートフォンの色表現は「カラー」というより「色の付いた紙」という感じです。ゲームをするには不向きなので、子どもに使わせるのにもよさそう。ニッチな製品かもしれませんが、教育用途などには向いているかもしれません。
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