両面スマホの今は? 中国で販売中の「YotaPhone 3」に見る未来:山根康宏の海外モバイル探訪記
背面に電子ペーパーを搭載した「YotaPhone」が発売されたのが2012年。その後は後継モデルが出たものの、スペックアップで価格も高くなり販売数は失速。3世代目の「YotaPhone 3」も出ましたが、中国国内でひっそりと販売されている状況です。
片面が通常のカラーディスプレイ、もう片面が電子ペーパー(E-Ink)のモノクロディスプレイという両画面スマートフォン「YotaPhone」が発表されたのは2012年の終わりでした。アプリケーションに応じて表裏を切り替えて使えるYotaPhoneは、ただの変態的な製品ではなく、スマートフォンの新しい使い方を提唱してくれるはずでした。
しかしその後は後継モデルが出たものの、スペックアップで価格も高くなり販売数は失速。気が付けば開発元のYota Devicesは中国資本傘下となり、3世代目の「YotaPhone 3」も出ましたが、中国国内でひっそりと販売されている状況です。
今や話題にも上がらなくなった両面スマホ、上海の展示会取材時に大手家電量販店に立ち寄ったところ、現役モデルとしてまだ販売されていました。
YotaPhone 3は5.5型フルHDディスプレイに、5.2型HDの電子ペーパーディスプレイを背面に搭載します。過去モデルでは画面サイズも解像度も小さく、使い勝手にやや難点がありました。しかしYotaPhone 3の背面ディスプレイは、メインとしても使えるだけの大きさがあります。
電子ペーパー画面は意外と見やすいので、電子ブックやコミックの閲覧はもちろんのこと、Webブラウジングをすることも十分実用的です。とはいえ、あえて電子ペーパー画面を使うシチュエーションはなかなかなく、そこが両面スマートフォンの普及が進まない理由になっています。
筆者もYotaPhone 2を買ったことがありますが、飛行機に乗るときにEチケット控えを表示しておくときは役に立ちました。電子ペーパーは電源オフでも表示が保持されるので、バッテリー残量が少ないときでもチケットなどを表示したままにしておけるのです。
しかしそれ以外の活用方法はなかなか見つからず、結局は複数のスマートフォンを持っているので「1台で2画面」の端末の必要性も感じなくなってしまいました。
中国では大手家電メーカーのHisenseが同様の両面スマートフォンを出していますが、展示会では見かけるものの、家電店などで実機を見かけることがありません。オンラインでは販売されているようなのですが、本当に使っているユーザーがいるかどうか、不明です。
iPhoneに取り付ける、電子ペーパー画面を備えたケースが日本でも販売されていますが、これも多くの人が使っているという話は聞かれません。スマートフォンを両画面化するよりも、ケースならば手軽で安価に裏面に画面を追加できるのですが、使い道がなければ買う人も増えないというわけです。
カラーの電子ペーパーが出てくれば、裏面側も普通のスマートフォンのように使えるかもしれません。現時点ではまだ商用レベルになるカラー電子ペーパーは実現していませんが、ぜひとも次期YotaPhoneは裏側もカラー化してほしいものです。
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