ゲーミングスマホ「ROG Phone 3」は快適だが、ゲーム市場の異変が気になる MVNOの5G SIMも試した(3/3 ページ)
ASUS JAPANから5G対応ゲーミングスマートフォンの新モデル「ROG Phone 3」が発売された。そこでROG Phone 3の各機能からゲーミングスマホの便利さ、購入時のチェックポイントを見ていこう。
高フレームレートは対応タイトルなら快適
バトルロイヤル系TPS・FPSのゲームプレーヤーが一番気になるのは、最大144Hz対応のフレームレートだ。実際に60fpsを超える90fpsや120fps、144fps対応ゲームは画面を激しく動かしてもちらつきがほぼない、ヌルヌルとした快適なゲームプレイが可能だ。特に移動しながら照準のカメラを動かすときなどは、プレイの快適さに大幅な違いが出る。
だが、一般的なゲームアプリは30〜60fps表示のものが多く、高速処理が必要な上に映像の印象やゲームの処理が変わることもあり、高フレームレートに対応したタイトルは少ない。ROG Phone 3のリアルタイム情報表示で144fpsと表示されたとしても、内部的な映像処理は60fps以下という場合もある。
ただ、この状況にも変化が生まれており、高フレームレートのプレイ環境に積極的に対応するゲームタイトルも増えつつある。日本でも知られるところだと、miHoYoの「崩壊3rd」が90fps対応モード、Wargaming.netの「World of Tanks Blitz」が120fps対応モードを搭載しており、滑らかな表示が可能だ。コロプラの「アリス・ギア・アイギス」も実験的機能として高フレームレートでの滑らかな表示に対応している。
では人気のフォートナイトやPUBG Mobileはどうかというと、現状フォートナイトはROG Phone 3だと最大30fps、PUBG Mobileは「スムーズ」の「極限」設定の60fpsが最大だ。前機種「ROG Phone II」ではモードを問わず60fps対応なので、今後の対応拡大に期待したい。
気掛かりなのは、フォートナイトやPUBG Mobileは海外向け配信で最大90fps対応を開始しつつあるが、中国のスマホメーカーOnePlusとの提携により同社製スマホを優先して対応、または時限的な独占対応を提供している点だ。
スマホメーカーOnePlusは、各ゲームメーカーと提携。自社スマホ限定でのフォートナイトの90fps対応や、PUBG Mobileの90fps対応を9月4日まで1カ月間の期間限定での独占利用を実現した
ゲーミングスマホは人気ゲームタイトルで“勝てる”スマホであることが強みの製品だが、人気ゲームメーカーが提携各社にのみ高フレームレートを対応させるようになると、ゲームメーカーがゲーミングスマホの売れ行きを決めてしまいかねない。この動きが今後日本市場にも波及するかは不透明だが、今後ゲーミングスマホの購入を考えている人はプレイするゲームタイトルとスマホメーカーの動きも要注意だ。
MVNOの5Gに意味はある? 速度をチェック
ROG Phone 3は5G対応のSIMロックフリースマホだ。そこで、MVNOの5G対応SIMでの動作もチェックしてみた。契約したキャリアはドコモ回線の「LinksMate」で、5G利用には月額500円のオプション契約を行った。
結果としては、5Gに接続しても、LinksMateの4G回線と何ら変わらない速度となった。実用では十分高速なのだが、現時点での5Gの特徴は高速通信しかないだけに、わざわざMVNOのオプション料金を支払ってまで低速な5Gを使う必要はほぼない。5Gの高速通信を試したいなら、キャリア契約のほうが無難だ。
安定したゲーム環境が欲しいなら買いだが……
ROG Phone 3の魅力は、SIMロックフリーの本格ゲーミングスマホの中では日本語対応がしっかりしており一番使いやすい点にある。おサイフケータイや防水性能はないにせよ、日本市場に参入してから長く、ROG Phoneも3世代目だけに、利用で迷うことはなかった。対応アプリを高フレームレートで楽しみたい、スマホゲームをもっと深く楽しみたいが、操作が不便なスマホは避けたい人におすすめだ。
ただ、人気のフォートナイトやPUBG Mobileの動作フレームレートの対応などは、現状不完全で性能を存分に発揮できない。これらのタイトルが目当ての人は、アプリとスマホ双方の対応状況をチェックしてから購入することをおすすめする。
© Pyramid,Inc. / COLOPL,Inc.
関連記事
- ASUSのゲーミングスマホ「ROG Phone 3」が日本上陸 5G対応で16GBメモリ搭載
ASUS JAPANが、最新ゲーミングスマートフォン「ROG Phone 3」を9月26日に発売する。16GBメモリ搭載と12GBメモリ搭載の2種類を用意。Snapdragon 865+や6000mAhバッテリーを搭載し、5Gにも対応する。 - ASUSがゲーミングスマホ「ROG Phone 3」発表 5G対応でSnapdragon 865 Plus搭載
ASUSが7月23日、ゲーミングスマートフォンの新機種「ROG Phone 3」を発表した。5Gに対応し、CPUやディスプレイの性能が向上。144Hz駆動に対応したゲームもプレイできる。価格や日本での発売は未定。 - 「ハイエンドに集中する方針は間違っていない」 ASUSに聞く「ROG Phone II」の秘密とSIMフリー戦略
2019年から、ハイエンドモデルに注力する戦略にシフトしたASUS。ミドルレンジ以下のモデルを大幅に減らしつつも、フリップカメラを搭載した「ZenFone 6」や「ROG Phone II」は、“ASUSらしさ”がいかんなく発揮された端末だ。ROG Phone IIの特徴を中心に、ASUS JAPANの端末戦略を聞いた。 - ASUSが11月20日に「何か」を発表 新型の「ROG Phone」か
ASUS JAPANが、直販サイト上に「この世界を、支配する。」と銘打ったティーザーサイトを公開した。画像を見る限り、ゲーミングスマートフォン「ROG Phone」の新モデルが発表されるものと思われる。 - ASUSはなぜ日本でゲーミングスマホを投入するのか? 「ROG Phone」の狙いを聞く
ASUSは、ゲーミングに特化したスマートフォン「ROG Phone」を発売した。両手持ちした際にゲームのコントローラーのように人差し指で操作できるなど、ゲームの操作感にもこだわって開発された。同社が日本でROG Phoneを投入する狙いを聞いた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.