武田総務相が携帯電話利用者と意見交換会――そこそこ使うくせに「高い」と文句を言うのは難癖か:石川温のスマホ業界新聞
武田良太総務大臣が「携帯電話利用者」との意見交換会に臨んだ。「利用者」の中には、「そこそこ使うのに安くしてくれ」という旨の主張や、「安くなってもサポートをしっかりしてほしい」という旨の主張もあった。いっそのこと、菅義偉総理大臣がMVNO(格安SIM)に乗り換える位の周知が必要なのではないか。
10月8日、総務省で武田良太総務相と携帯電話利用者の意見交換会が開催された。会は非公開で行われるということで、取材には行かなかったが、ITmediaの記事によれば、冒頭部分の撮影と終了後、総務省の担当者からの説明はあった模様だ。
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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2020年10月13日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額税別500円)の申し込みはこちらから。
ITmediaの記事を読むと、なかなか香ばしい意見交換会だったようだ。
そもそも参加したのはシングルマザー、主婦、シニア、消費者、フリーランスを代表するという人たち。ただ、フリーランス代表は「クラウドソーシング協会 事務局長」でありながら「株式会社パソナ 営業総本部 シニアマネージャー」という人だったりするので、本当にフリーランスの意見が反映されているのか、かなり怪しい。
交換会の中で気になったのが「Zoomを使うと容量を消費する。通信費が高いのでなんとかして欲しい」という意見だ。そもそも、オンライン会議という動画を流すサービスを利用しているのに「月末になると速度制限になるから安くしてくれ」というのは主張として無理があるのではないか。
Wi-Fi環境を選んで使えばいいという話だし、そんななか「公衆Wi-Fiだとセキュリティが心配だからスマホのテザリングを安く使いたい」という意見もあった。ただ、「Wi-Fiはセキュリティ面と引き換えに無料」なのであるし、「スマホのテザリングは安全と引き換えにコストが発生している」というのをしっかりと理解した方がいいだろう。
また、シニアからは「サポートをしっかりして欲しい」という意見もあったようだが、今の携帯電話料金は、ショップ店頭やコールセンターなどのサポートも含まれての料金体系だ。意見をしているシニア代表は、値下げと引き換えに「サポートは有償」を受け入れる覚悟はあるのか。
「料金体系が分かりにくい」という意見があったが、確かに「光回線とのセット割」「家族での複数回線割引」を全面に押し出してのサイトや広告は、必ずしも分かりやすいとはいえない。
ただ、このあたりを規制しようとすると、総務省はまじめ一辺倒のルールにしがちで「複数回線割引や光回線とのセット割引、期間限定の割引は一切禁止」という明後日の方向を向いた規制になりがちなので注意が必要だ。キャンペーンや割引は競争であり、おおいにやるべきなので、総務省は間違っても、競争を停滞させる方向にすべきではない。
確かにキャリアの分かりにくい表記方法に問題があるのは間違いないが、一方で、消費者が「わかろうとしない」のも課題だろう。
積極的に月々の支払いを安くしようと思えば、MVNOやサブブランドという選択肢はあるし、それらを選んでいかない事には、大手キャリアが甘えて料金競争などいつまで経っても起きるわけない。
政府や総務省がやるべきはいかにMVNOを認知させ、キャリアに不満を感じているユーザーに移行させるかに尽きるはずだ。
菅総理自身がケータイから格安スマホに乗り換え、メリットをアピールするぐらいのアクションが必要なのではないか。
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