ソフトバンクはなぜ3ブランドで料金プランを刷新したのか? 榛葉副社長に聞く(2/2 ページ)
ソフトバンクは、既存の料金体系を見直すのと同時に、LINEを生かしたオンライン専用の新ブランドを追加する。新ブランドのコンセプトは「SoftBank on LINE」。「オンライン」と「LINEで」を意味する「on LINE」のダブルミーニングの通り、契約やサポートはLINE上で提供する。新料金を一挙に発表した狙いを榛葉淳副社長に聞いた。
データ無制限が可能になったが、テザリングは30GBまで
―― 一方で、ドコモは4Gと5Gが別プランで100円差になっているところなど、微妙に思い切りが悪いところがありました。ソフトバンクは全プランで4G、5Gの両対応です。こちらについては、どういった判断をされたのでしょうか。
榛葉氏 大きな判断でした。冒頭の質問にも通じますが、やはり“面積”は必要です。これで魅力を感じていただき、ソフトバンクブランドのメリハリ無制限に興味を持ってお越しいただけるようになれば、(5Gの追加料金を取らなくても)十分対応していけると判断しました。
―― 無制限に関しては、インフラ側のキャパシティーも必要になります。このタイミングで提供できるようになった背景を教えてください。
榛葉氏 確かにメリハリプランは比較表だと50GBですが、動画の見放題があるので、実質的には無制限に近いものでした。あの期間にユーザーさんのビヘイビアー(行動)を見て、気を付けなければいけない項目は何なのかを、実地で勉強してきました。宮川(潤一CTO)の部隊とも、何度も打ち合わせをして、こういうことであればと提供できることになりました。メリハリプランで実態を把握できたのは大きかったと思います。
―― ただし、テザリングには30GB制限があります。
寺尾氏 テザリングを最後に制限させていたのは、制限することで、結果的にスマホのユーザーに安く出せるからです。(テザリングでサーバ的に振る舞う機器をつないで)機械的な通信をされてしまうと、なかなかつらいところです。
―― 3ブランドでシンプルになりましたが、ミニフィットプランも残ると伺いました。この意義はどこにあるのでしょうか。
菅野氏 ミニフィットプランも5Gに対応していて、現状では継続して取り扱っていきますが、状況を見ながらここも変えていきます。そうは言っても、ソフトバンクブランドで小容量に入りたい方もいるため、その余地は残してあります。
ソフトバンクにとって「ブランド」とは?
―― 最後に、乗り換えの手数料がなくなり、ブランド間の移行が簡単にできるようになると、実質的な料金プランの1つになるという見方もあります。ソフトバンクにとって、ブランドとは? それを教えてください。
榛葉氏 プランの1つの上のレイヤーに来るもので、お客さまと一緒に作っていくものです。お客さまから見たとき、その名前(ブランド)だと、どういったカテゴリーのサービスが受けられるのかということが大切です。「1億総スマホ」時代には、単なるプラン名ではなく、ブランドを明確にして、お客さまと一緒に作っていき、お客さまのご支持をいただくことが大事だと思っています。
お客さまによって、使い方はさまざまです。大容量で、常に先進的な方はソフトバンクから検討するでしょうし、同じような通信のクオリティーで、しっかりしたサポートも必要でも、データ容量は小容量から中容量でいいという方にはY!mobileがメインブランドです。今まではこの2つのブランドでしたが、今後はここにSoftBank on LINEが加わっていくことになります。
取材を終えて:ソフトバンクの真骨頂を感じた
ドコモに対抗する形で、ソフトバンクも大容量プランの値下げと、オンライン専用ブランドでの20GBプラン新設に踏み切った。特に後者は、システムの構築だけでなく、販売代理店への根回しも必要になり、準備には時間がかかる。ahamoの発表から1カ月もたたずに対抗策を披露できたのは、いい意味でサプライズだった。料金体系がシンプルになったことも歓迎したい。このスピード感や市場の空気を読む力は、ソフトバンクの真骨頂と言えそうだ。
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