「Apple ProRAW」がやってきた そもそもRAWとは? どんなシーンで使える?:荻窪圭のiPhoneカメラ講座(4/4 ページ)
iPhone 12 Pro/Pro Maxのみとなるが、iPhoneでRAWデータを記録できるようになった「Apple ProRAW」。本記事ではその使い方から活用法までを伝授する
ProRAWはどんなときに使う?
正直なところ、コンピュテーショナルフォトグラフィーはけっこう優秀なので、たいていの場合はRAWで撮影しなくても大丈夫なんじゃないかと思う。HEIFやJPEGでも後から多少は調整できるし。
ただ、撮ってみて「何か気に入らないな」「ちょっと不自然だな」「イメージしたのと違うな」ってときに、RAWでも撮っておけば、あとから自分でイメージ通りの絵を作れる。
特に「色のコントロール」を後から自在にできること、より多くの諧調を持っているのでハイライトやシャドーをより自分のイメージに合わせて調整できること、そしてディテールのデータが多く残っているのでより細かい描写を見込めること――が特徴だ。
例えばこんなとき。
地面に積もったイチョウの葉。じゅうたんみたいでキレイなんだけど、ただ撮っちゃうと不自然な色味になる。実はこのシーン、ホワイトバランスを自動で合わせるのが難しいのだ。実際より青みがかって撮れちゃうことが多い。
そこで、RAWで撮って色を調整したのが下。写真アプリを使ってホワイトバランスを少しずらして色を調整し(実際より少し暖色系に振ってより秋っぽい感じにしてみた)、明るく鮮やかにしてみた。
あるいは「写真を自分のイメージ通りに仕上げたい」ってときは初めからRAWで撮っちゃうといい。
これは超広角で撮った紅葉と古民家なんだけど、ちょっと派手にライトアップされている風に処理してみた。
ナイトモードで撮ったものもRAWで記録できる。夜間の撮影はイメージを膨らませやすいので現像しがいがある。
ナイトモードを使って撮った夜の日枝神社をLightroomでホワイトバランスを大きく変え、階調をコントロールして幻想的にしてみた。
青っぽくすることで超自然的な何かが起きそうな感じになる。
iPhone 12 Pro/Pro Maxを使っているなら、時にはProRAWで撮って自分で現像してみると楽しいかと思う。
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