HuaweiとXiaomiの動きに注目 2021年に中国メーカーの勢力図はどう変わるのか?:山根康宏の中国携帯最新事情(2/4 ページ)
2020年は、米国と中国の貿易戦争に通信業界が巻き込まれた1年だった。中国メーカーのパワーバランスもこの歴史的な大きな2つの出来事により大きく変わろうとしている。中国大手4社の2020年の動きを振り返りながら、2021年の展望を予想してみた。
Xiaomi:グローバルシェア2位は夢ではない
Xiaomiは第3四半期のグローバルシェアがAppleを抜き3位となり、今最も勢いに乗っているメーカーといえる。
IDCの調査では4650万台を出荷。クリスマスのホリデーシーズンではないにもかかわらず、前年比で4割も数を伸ばしたのは、ハイエンドモデルからエントリーモデルまでコストパフォーマンスを重視した製品層を厚くしたからだ。Huaweiのように中国市場重視ではなく、それ以外のマーケットでも人気を高めている。先進国では5G対応モデルが売れ、新興国では100ドル台の低価格機がヒットを飛ばしている。なおXiaomiの第3四半期の好調の理由は前回の記事で書いたのでそちらも参照してほしい。
この第3四半期の好調を1年間維持できれば、2021年は年間出荷台数2億台も夢ではなくなる。ちなみにAppleの2019年の年間出荷台数は1億9100万台だった(IDC調査)。つまりXiaomiが年間でAppleを追い抜く可能性は十分あるのだ。
Xiaomiの強みはスマートフォン以外の製品も数多く展開していることだ。モバイルバッテリーやUSBケーブルといったアクセサリーはもちろん、スマートTVやスマート家電も展開している。体重計や空気清浄機などスマートフォンと接続できる製品も多い。さらにはスーツケースやバッグ、ボールペンなど日用品も販売しているのだ。Xiaomiの店舗は世界各国に展開されており、Xiaomiを知らない人でも一度店の中に入ればスマートフォン以外の製品の多さに驚き、気が付けば低価格なヘッドフォンを手にレジに向かっているに違いない。しかも価格は安く品質も価格に対して悪くはない。
AppleやSamsungのスマートフォンを使っている人でも、Xiaomiのストアでは何かしら買いたいもの、欲しいものが見つかるのだ。そして「安いスマートフォンは子供用に買おうか」と来客が思えばしめたものだろう。日本円で1万円台から買える「Redmi 9」シリーズでもライトユーザーには十分な性能と品質を持っている。
XiaomiはSnapdragon 888搭載のフラグシップ「Mi 11」を12月末に発表するなど、Qualcommと密接な関係も築き上げている。先進国向け製品から新興国向け低価格機までバランスの良い製品展開を続けるXiaomiは2021年も大きな伸びが期待できるだろう。もちろん日本にも今まで以上の数の5Gスマートフォンが投入されるだろう。2021年は四半期ごとに「Apple vs Xiaomi」というシェア争いが大きな話題となりそうだ。
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