HuaweiとXiaomiの動きに注目 2021年に中国メーカーの勢力図はどう変わるのか?:山根康宏の中国携帯最新事情(3/4 ページ)
2020年は、米国と中国の貿易戦争に通信業界が巻き込まれた1年だった。中国メーカーのパワーバランスもこの歴史的な大きな2つの出来事により大きく変わろうとしている。中国大手4社の2020年の動きを振り返りながら、2021年の展望を予想してみた。
OPPO:先進国での存在感を高め、Appleの後を追いかける存在に
OPPOは先進国と新興国では製品展開を分け、それぞれの市場に適したスマートフォンを大量に投入した。中核モデルのRenoは2019年12月に中国で発表した「Reno3」シリーズをグローバルでは別仕様の製品を2020年4月に改めて投入。日本で発売された「Reno3」は中国版「Reno3 Pro 5G」と同スペックだが、インドや東南アジア向けの「Reno3 Pro」(製品名に「5G」が付かない4Gモデル)はフラットディスプレイに4400万画素+200万画素のデュアルインカメラに変更。先進国には6月に「Reno4」シリーズを投入した。
さらに上位モデルのFindシリーズは「Find X2」「Find X2 Pro」「Find X2 Lite」「Find X2 Neo」の4機種を発売。ハイエンドモデルの代名詞だったFindシリーズにミドルハイレンジのLite、Neoを追加し、製品の選択肢を増やした。なお、Find X2 Neoは中国向けのReno 3 Pro 5Gをグローバル向けに製品名を変更したモデルだ。似たような例は他にもあり、中国向け「A92s」をグローバルでは「Reno4 Z 5G」として販売している。
OPPOのラインアップはFind、Reno、Aの3つがあるが、Aシリーズはどの国でも低価格なミドルレンジモデルとして展開している。しかし特に先進国では他社との価格競争は避け、格安なイメージを持たれないような広告展開も行っている。中国ではRenoやAだったモデルを海外でFindやRenoブランドに変更して出すのは、上位モデルをそろえたメーカーというイメージを植え付けたいと考えているのだろう。先進国でのスマートフォン出荷台数は少しずつだが徐々に上がってきており、2021年にHuaweiの存在感が薄くなる隙に上位モデルでシェアを奪おうとしているのだろう。
Find X、Reno重視の先進国に対し、新興国ではAシリーズを大量に投入した。中でも中国では半年ごとにモデルチェンジを行っている。全世界でOPPOが2020年に投入したAシリーズの数は18機種にも及ぶ。A3Xシリーズは「A31」「A32」「A33」、A5Xシリーズは「A52」「A53」「A53s」「A53 5G」、A7Xシリーズは「A72」「A72 5G」「A73」「A73 5G」のように各シリーズで複数のモデルが投入されたが、消費者側には混乱よりも「常に新しい製品を出すメーカー」という印象を植え付けただろう。
Aシリーズは低価格な「A12」「A12e」「A12s」も投入されたが、低価格モデルは姉妹メーカーであるRealmeに任せ、新興国でも価格勝負となる製品はあまり多くは出していない。このあたりはOPPOというブランドをよりプレミアムなものとし、価格で選ばせないという販売戦略路線を以前から維持している。なお、従来展開していた「K」と「F」のラインは1〜2機種の投入に終わり、ラインアップを絞り込むようだ。
2020年12月には、巻き取り式ディスプレイを搭載するコンセプトモデル「OPPO X 2021」の実機を発表。他にも折りたたみ型端末など複数のコンセプトを相次いで発表しており、先進技術を積極的に取り入れる姿勢をアピール。「OPPOから次はどんなスマートフォンが登場するのだろう?」と、世界中の消費者に期待感を持たせることでイメージアップを図っている。
OPPOは市場ごとに投入する製品を細かく分けられるだけの豊富な製品ラインアップをそろえ、Appleのすぐ後を追いかけるポジションを着々と強固なものにしている。2021年も出荷数を順調に伸ばすことができそうだ。
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