HuaweiとXiaomiの動きに注目 2021年に中国メーカーの勢力図はどう変わるのか?:山根康宏の中国携帯最新事情(4/4 ページ)
2020年は、米国と中国の貿易戦争に通信業界が巻き込まれた1年だった。中国メーカーのパワーバランスもこの歴史的な大きな2つの出来事により大きく変わろうとしている。中国大手4社の2020年の動きを振り返りながら、2021年の展望を予想してみた。
Vivo:iQOOシリーズを拡充し先進国展開を強化
VivoはOPPOと出荷台数でほぼ横並びだが、主力の市場は新興国であり、製品ブランドを細かく分けることで市場ごとに最適な製品を展開している。
従来の最新技術を搭載したモデル「NEX」は1機種も投入せず、ハイパフォーマンスモデルは「X50」「iQOO」という2020年から展開された新しいシリーズの上位モデルに任せることになった。さらに「V」「Z」「S」「Y」と複数の製品を持つ。製品種類が多岐にわたり、上位モデルに「Pro」「Pro+」とやや分かりにくい名称を付けているが(これはHuaweiも同様だ)、市場の成長に合わせてその時々に売れると思われる製品を次々と出していくことで、世界シェア6位以内を常にキープしているようにも見える。
新興国ではVivoの存在感が高い国が多く、インドではSamsung、Xiaomiに次いで3位(カウンターポイント調査)。しかしすぐ後を低価格機ではRealme、ミドルレンジ以上のモデルではOPPOが追いかけてきている。
Vivoは新たなマーケットを開拓すべく、2020年10月から欧州に参入。イギリス、イタリア、スペイン、ドイツ、フランス、ポーランドでハイエンド5Gモデル「X51s」とミドルレンジ以下の「Y70」「Y21s」「Y11s」、さらにワイヤレスヘッドフォンなどを投入した。ブランド知名度の全くないVivoだが、OPPOがFCバルセロナとスポンサー契約を結び認知度アップを図ったように、UEFA EURO 2020と2024の公式スポンサーになることでブランド浸透力を図る。
VivoはFIFA World Cupsの2018と2022のスポンサー契約も行っている。欧州のサッカー人気を背景に、欧州の消費者がVivoの製品をどこまで受け入れてくれるのか。2021年はVivoの動きがより活発な1年になりそうだ。
関連記事
- XiaomiがAppleを抜きスマホ出荷数3位に さらに上を目指すのに必要なことは?
新型コロナウイルスの影響で、スマートフォンメーカーは出荷台数を大幅にダウンさせた。中国市場で出荷台数を回復させたHuaweiがSamsungをわずかな差で抜いて初のシェア1位となった。そして迎えた第3四半期(7月〜9月)は、XiaomiがついにAppleを抜いて3位に浮上したのだ。 - Huaweiが“Honorブランド”を売却 独立して生き残れるのか?
米国政府による制裁を受け、Huaweiのスマートフォン事業は苦境を迎えようとしている。その中で浮かび上がったのが同社のサブブランド「Honor」(オナー)を事業として売却する動きだ。Honorが完全独立したメーカーになったとして、生き残ることはできるのだろうか。 - フォルダブルの次は「ローラブル」 5G普及を後押しする大画面スマホを中国メーカーが開発中
Samsungが発表した折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Fold2」によって、フォルダブル端末が再び注目を集めている。Samsungに追い付こうと中国メーカーも新しい製品の開発に余念がない。Royoleが折りたたみスマホ「Flex Pai」の後継機を発表した。 - 米国の規制強化でプロセッサ製造の道も絶たれたHuawei 業界への影響は?
2020年第2四半期の世界のスマートフォン出荷台数でHuaweiがついに1位となった。しかしHuaweiが好調なのは中国国内市場のみで、他国での比率は下がっている。米国の機器やソフトを用いたプロセッサ製造の道が絶たれたことも大きい。 - 5Gスマホの4台に3台は中国メーカー、1万円台の激安モデルも間もなく登場
調査会社カナリスは、2020年第2四半期のスマートフォン出荷台数でHuaweiがSamsungを抜き初の1位になったというデータを発表した。Huaweiは既に5Gスマホ市場でシェア1位になっている。2020年下半期には、中国メーカーから1000元(約1万5200円)以下の「激安5Gスマホ」が登場する見込み。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.