Huawei失速で勢力図が変わる中国市場 “格安”だけでは生き残れない厳しさも:山根康宏の中国携帯最新事情(1/2 ページ)
中国は世界最大の5G市場となり、5Gスマートフォンは、全スマートフォン出荷数の半数を超える。メーカーのシェアは、2020年通期だとHuaweiがトップだが、同年後半に失速している。ライバルメーカーはエントリーモデルからハイスペック製品まであらゆる製品をそろえ、販売数増を目指そうとしている。
世界最大のスマートフォン市場である中国は、今や世界最大の5G市場にもなった。中国信息通信研究院の調査によると、2020年の中国国内のスマートフォン出荷台数は3億790万台に達した。新型コロナウイルスの影響により2019年から20.8%減少したが、それでも年間3億台のスマートフォンが出荷されたのだ。
このうち5Gスマートフォンの出荷台数は1億6300万台で、これは全スマートフォン出荷量の52.9%に達する。5Gスマートフォンの製品数も、メモリ構成などのバリエーション違いを合わせ218機種が登場した。中国ではほぼ毎週5Gスマートフォンの新製品発表会が開催されているほどだ。
中国でもiPhone人気は健在、1600元(約2万6700円)以下の低価格モデルも人気
それでは中国ではどのメーカーが強く、どんなスマートフォンが売れているのだろうか。CINNO Researchが集計した、2019年〜2020年のメーカー別シェアを見てみると、1位Huawei、2位Vivo、3位OPPO、4位Honor、5位Apple、6位Xiaomi、7位Realme、8位Samsungと続く。このうちHonorは2020年末までHuaweiのサブブランドでありひとまとめにされていたが、この調査ではそれぞれの販売量を個別に出している。
Huaweiの1位は誰もが納得いくだろうが、HonorはAppleの上を行く4位。Honorだけでもかなりの数が売れていたのだ。また各社は2019年より出荷台数を落としているが、AppleとXiaomiだけは大きく伸ばしている。Appleは何と言っても「iPhone SE」効果も大きかったし、Xiaomiは積極的な新製品展開が中国の消費者に受け入れられた。また最も大きく数を減らしたのはその他のメーカーで、ZTE、TCL、Lenovo、Meizu、Hisenseなどがここに入る。しかしこれら各社とも2021年は魅力的な端末を出し巻き返しを図るだろう。
次に中国ではどんな製品が売れたのだろうか。年間販売台数を比較したいところだが、発売時期によって販売期間が異なるため、直接の比較は難しい。そこで1年で最もオンラインショッピングが盛り上がる11月11日、独身の日の大手ECサイト、京東(JD.com)のスマートフォン機種別売り上げランキングを見てみることにした。
1位がiPhoneなのは妥当かもしれないが、2020年10月に発売された「iPhone 12」と「iPhone 12 Pro」はランクインしておらず、一番売れたのは「iPhone 11」だった。iPhone 12よりディスプレイ解像度や5G非対応などスペックは落ちるものの、価格は700元(約1万500円)も安い。コスパを考えればiPhone 11でも十分と考える中国人が多かったのだろう。なおOmdiaの調査による全世界のスマートフォン機種別販売台数でもiPhone 11は2020年通算でトップ、さらに2019年も2位と不動の人気機種となっている。
しかし2位以下を見るとAppleの製品は入っておらず、全てが中国メーカーの製品だ。このうち5Gモデルは5機種、4Gモデルは4機種で、前述した中国の2020年通年スマートフォンの5G/4Gの割合に近い。メーカーを見るとXiaomiが7機種、Realmeが2機種で、年間1位のHuaweiや2位以下のVivoやOPPOの製品は入っていない。
それぞれの機種の実売価格を見ると、Redmi K30は1599元(約2万6000円)、realme Q2は1299元(約2万1000円)、Redmi Note8は959元(約1万6000円)、Redmi 10Xは1399元(約2万3000円)、Redmi 9Aは599元(約9900円)、realme V3は1399元(約2万3000円)、Xiaomi Mi 10は3599元(約5万9000円)、Redmi 8Aは699元(約1万1000円)、Redmi Note8 Proは1299元(約2万1000円)。Mi 10を除いた他の機種は1600元以下の低価格モデルなのだ。
もちろんHuaweiもHonor含め低価格モデルを出しているし、Vivoも1000元台のスマートフォンの種類は多い。一方、OPPOは1000元台のモデルは少なく、兄弟会社ともいえるRealmeに低価格機は任せている格好だ。OPPOは販売数という数を追いかけるのではなく、ブランド価値を維持するため格安路線には走らず、他のメーカーと販売戦略を変えている。
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