Huawei失速で勢力図が変わる中国市場 “格安”だけでは生き残れない厳しさも:山根康宏の中国携帯最新事情(2/2 ページ)
中国は世界最大の5G市場となり、5Gスマートフォンは、全スマートフォン出荷数の半数を超える。メーカーのシェアは、2020年通期だとHuaweiがトップだが、同年後半に失速している。ライバルメーカーはエントリーモデルからハイスペック製品まであらゆる製品をそろえ、販売数増を目指そうとしている。
生産数急減で失速するHuawei、Xiaomiの成長戦略を追いかけるRealme
では、なぜHuaweiとVivoは1機種もランクインしなかったのだろうか。
Huaweiは確かに2020年の通年で1位だが、実は後半急激に数を減らしたのだ。Canalysの調査を見ると、2020年第4四半期にHuaweiの国内出荷量は急減しており、ライバルメーカーとほぼ同数までに落ち込んだ。プロセッサ供給停止による生産数の急減に加え、先行きを心配する消費者の数も増えた。京東のデータはHuaweiが4位に後退した第4四半期最中のものであり、中国の消費者のHuawei離れの結果がそのまま表れたのだろう。
Vivoも低価格機「Y」シリーズなどを多数出しつつ、高価格なモデルも増やして利益向上に力を入れている。当初は低価格機からスタートしたサブブランド「iQOO」シリーズでは、2020年夏登場の「iQOO 5 Pro」がSnapdragon 865を搭載し120Wの急速充電対応というハイスペックな製品となっており、BMW M Motorsportsと提携したトリコロールの3色カラーモデルも展開。OPPO同様、価格勝負だけではなくスペックやデザインを高めた製品にも注力している。
OPPOとVivoが価格勝負を避けたことで、もともと低価格機に強いXiaomiのRedmiシリーズと、やはり格安モデルから出発したRealmeのスマートフォンが中国で売れまくったのは当然のことだろう。とはいえ、低価格機だけでは利益を生みにくい。Xiaomiは2019年に「小米(Mi)」「紅米」という2つのブランドを、「小米」「Redmi」に変更。Redmiのコスパの高さをより明確に打ち出すことでファンを増やし、そこから上位モデルの小米(Mi)シリーズに興味を持ってもらう戦略が成功している。
Realmeもインド向けのOPPOの低価格ブランドから独立分離し、中国へ逆輸入される形で低価格機を次々と出すことで知名度を一気に高めた。その仕上げとして2020年12月にQualcommがSnapdragon 888を発表すると、他のメーカーと合わせるように同プロセッサ搭載機を発売すると発表。低価格専業というイメージから脱却を図り、Xiaomiの成功戦略をそのまま追いかけようとしている。
2020年までの中国市場はHuaweiが圧倒的に強く、OPPOとVivoはミッドハイレンジを中心とした展開、Xiaomiは格安からハイエンド、そしてRealmeが低価格機で挑むという図式だった。2021年はHuaweiが脱落し、残りの4社はエントリーモデルからハイスペック製品まであらゆる製品をそろえ、販売数増を目指そうとしている。2021年の中国スマートフォン市場は、過去にないほど激しい競争が繰り広げられそうだ。
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