ソフトバンクの“強い要望”も反映 ZTEが投入する「Libero 5G」の狙い
ソフトバンクのY!mobileブランドでは初の5Gスマートフォンとして、ZTE製の「Libero 5G」が4月8日に発売された。IP57の防水と防塵(じん)に加え、海外メーカー製の安価なスマホでは省かれがちな、おサイフケータイ(FeliCa)もサポートしている。決済アプリを簡単に起動できる仕掛けも用意した。
ソフトバンクのY!mobileブランドでは初となる5Gスマートフォンとして、ZTE製の「Libero 5G」が4月8日に発売された。Y!mobileオンラインストアでの価格は3万1680円(税込み)で、ミッドレンジに位置付けられる。
今回、ZTEジャパンとソフトバンクの担当者にグループインタビューをする機会を得たので、Libero 5Gの詳細について見ていきたい。
ディスプレイは約6.5型フルHD+(1080×2340ピクセル)液晶を搭載し、左上にインカメラ用のパンチホールを設けたことでノッチをなくしている。プロセッサはSnapdragon 690 5G、メインメモリは4GB、内蔵ストレージは64GB、バッテリー容量は3900mAhだ。アウトカメラは約1600万画素のメイン、約800万画素の超広角、約200万画素の深度センサーで構成されている。IP57の防水と防塵(じん)にも対応している。
【更新:2021年4月8日12時25分 ZTEからの提供資料に、実物と異なる端末画像が掲載されていたため、正しい画像に差し替えました。】
ここまでは同価格帯の他メーカースマホと大差ないが、海外メーカー製の安価なスマホでは省かれがちな、おサイフケータイ(FeliCa)もサポートしており、約3万円のスマホとしては機能面が充実している。
さらにLibero 5G独自の機能として、背面の指紋センサーに任意のアプリを割り当てることができる。これにより、スリープ状態から指紋センサーに触れるだけでアプリを起動できる。アプリは指ごとに5つまで割り当てられ、例えば人さし指に「PayPay」、中指に「LINE」のアプリを登録するといった具合だ。
なお、Libero 5Gにベースモデルはないとのこと。Bladeシリーズの設計思想を受け継ぎ、ソフトバンクのカスタマイズに基づき、日本独自の仕様になっている。
Y!mobileの5Gスマホ初号機にLibero 5Gを採用した背景について、ソフトバンク プロダクト&マーケティング統括 モバイル事業推進本部 パートナービジネス統括部 パートナービジネス2部2課の福住健将氏は、2019年にY!mobileで発売したZTEスマートフォン「Libero S10」の実績を挙げる。「5G端末と言えば高いイメージがあるが、そういった所を払拭(ふっしょく)できるように、今までの4Gスマートフォンと同じような使い勝手を目指した」(同氏)
「今までと同じ使い勝手」の筆頭がおサイフケータイの対応だ。この点については、ソフトバンク側から強く要望を出したという。Libero S10はおサイフケータイには対応しておらず、「販売店やお客さまから対応を求める声が多く挙がっていた」(福住氏)という。そうした要望を受けてLibero 5GではFeliCaを搭載し、今後も「FeliCaを搭載していこうと考えている」(ZTEジャパン モバイルターミナル事業部 商品企画 部長のトウ・ホウ氏)とのこと。PayPayなどの決済アプリを指紋センサーから簡単に起動できる仕掛けも、ユーザーからの要望を反映させたものだという。
ソフトバンクブランドでも2万1600円(税込み)の安価な5Gスマートフォン「Redmi Note 9T」に加え、「razr 5G」や「Xperia 5 II」といったハイエンド機も扱っている。ソフトバンク プロダクト&マーケティング統括 モバイル事業推進 本部 パートナービジネス統括部 パートナービジネス 2部 2課 課長の鈴木義秀氏は「Y!mobileではローかミッドレンジの端末が中心になるが、ソフトバンクはローからフラグシップまで幅広く扱っていく」と説明する。
一方、ZTEは2015年〜2017年に日本ではSIMロックフリースマホも積極的に投入してきたが、2018年以降、SIMフリー市場でのビジネスは停滞している。5Gスマートフォンを日本に投入しているが、国内で扱っているのはソフトバンクやKDDIなどのキャリアのみ。モバイルターミナル 事業 副社長のコウ・ガイカ氏は「全体の戦略として、キャリアビジネスが中心だが、MVNOへの投入をやめたわけではない。これから2〜3年後、(SIMフリー市場で)またやる計画は考えている」とのこと。MVNO向け5Gサービスが普及すれば、ZTEがSIMフリー市場に再参入する可能性は高そうだ。
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