「折りたたみ、ハイエンドカメラ、カジュアル」 Xiaomiが狙う「スマホ世界シェア2位」:山根康宏の中国携帯最新事情(1/2 ページ)
2021年3月26日〜27日にXiaomiが中国・北京で新製品発表会を開催し、スマートフォンのフラグシップモデルやスマート家電、そしてスマートEV(電気自動車)への参入を発表した。今回の発表会での一番の目玉となる製品は折りたたみディスプレイを搭載する「Mi Mix Fold」だ。「スマートフォン市場のリーダーはXiaomi」という印象を全世界にアピールした。
2021年3月26日〜27日にXiaomiが中国・北京で新製品発表会を開催し、スマートフォンのフラグシップモデルやスマート家電、そしてスマートEV(電気自動車)への参入を発表した。今回の発表会は2日間に分けて行われたもので、Xiaomiとしては初の試みだ。他のメーカーでも2日間に分けてスマートフォン4モデルを一気に発表する例は珍しく、今回のXiaomiの新製品にかける意気込みが強く伝わってくるものであった。
折りたたみスマホ競争でHuaweiを抜いた
今回の発表会での一番の目玉となる製品は折りたたみディスプレイを搭載する「Mi Mix Fold」だ。ディスプレイを内側に折りたたむ構造はHuaweiが2月に発表したばかりの「Mate X2」、そしてSamsungの「Galaxy Z Fold2」と同じだ。Xiaomiはこの同じ形状の折りたたみスマートフォンで、世界最大サイズとなる「8.01型」を実現。Huawei Mate X2とのサイズ差はわずか0.01型だが、解像度は2480×1860ピクセルでアスペクト比は4:3となる。Mate X2は2480×2200ピクセルと高解像度だが、アスペクト比は4:3.5となる。そのため、動画を表示するときはMi Mix Foldの方が広く表示でき、より臨場感あふれる動画再生が可能だという。
AppleのiPad mini(2019年モデル)との比較では、iPad miniは本体サイズがMi Mix Foldより大きいにもかかわらず、ディスプレイサイズは7.9型と小さい。Mi Mix Foldは8型クラスのタブレットと比べても優位性があり、しかも他社の折りたたみスマートフォンよりも高いユーザー体験を提供できるとしている。
横折り式の折りたたみスマートフォンは、大きい画面を普段はたたんでコンパクトなサイズで持ち運べる点が大きなメリットだ。つまり開いたときの画面サイズは大きいほどいい。一方で、閉じたときのサイズはスリムな方がポケットにも収納しやすい。Mi Mix Foldの閉じたときのサイズは69.8(幅)×173.3(高さ)×17.2(奥行き)mm、Mate X2は74.6(幅)×161.8(高さ)×14.7(奥行き)mm。Mi Mix Foldは縦に長いものの横幅は細く、300gを超える重量級の本体を片手でも楽に持つことができそうだ。
このように、Mi Mix Foldは折りたたみ型というデザインのスマートフォンとして使いやすさを高めたが、それだけではなくカメラにも新しい技術を投入した。1億800万画素のメインカメラに加え、業界初という液体レンズを使ったカメラを搭載したのだ。ここ数年、スマートフォンのカメラ技術ではHuaweiが業界をリードしていたが、Mi Mix FoldではXiaomiが新しい技術を真っ先に採用した。液体レンズは複数レンズの組み合わせを不要とし、スマートフォンのような小さいデバイスに組み込み、高倍率の望遠性能を実現する。これからのスマートフォンの主流となるかもしれない、先進的なカメラ技術なのである。
多くのメーカーが光学5倍や10倍といった高倍率レンズを採用しているが、ペリスコープ方式のためカメラモジュールは大きくなってしまう。液体レンズはレンズ部分を小型化でき、本体が小さいスマートフォンでも数倍の光学望遠を実現できる。Mi Mix Foldでは液体レンズにより光学3倍または80mm相当のマクロ撮影を可能にしている。どの程度の写真品質なのかは実機を触ってみないと分からないものの、液体レンズの採用はXiaomiのカメラ技術がHuaweiに劣っておらず、互角の戦いができることを証明したといえる。
Huaweiが2月にMate X2を発表したとき「SamsungのGalaxy Z Fold2よりも性能が高く使いやすい」という点を大きくアピールした。しかしそれからわずか1カ月後、今度はXiaomiがそのMate X2を上回る折りたたみスマートフォンを市場に投入した。折りたたみスマートフォンは各社がハイエンドかつプレミアム製品として展開する、メーカーの「顔」ともなる製品だ。その折りたたみスマートフォンの中で頂点に立つ製品を出したことで、「スマートフォン市場のリーダーはXiaomi」という印象を全世界にアピールしたといえるだろう。
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