総務省が楽天モバイルに「1.7GHz帯(東名阪エリア以外)」の電波を割り当てへ 5Gでの利用を前提に
5Gサービスでの利用を前提に募集した1.7GHz帯(一部)の基地局開設計画について、総務省が楽天モバイルの計画を認可することになった。4〜6月以降、同社は東名阪エリア以外において認可を受けた帯域での基地局開設が可能となる。
総務省の電波監理審議会は4月14日、同省から諮問を受けた「第5世代移動通信システムの普及のための特定基地局の開設計画の認定」について、原案を適当とする答申を行った。これにより、楽天モバイルは2021年4〜6月以降、東名阪エリア(詳しくは後述)を除く全国において1.7GHz帯の特定基地局(携帯電話基地局)を開設できるようになる見通しだ。
いわゆる「東名阪バンド」が全国で利用可能に
携帯電話が通信に利用する電波の周波数帯域のうち、1.7GHz帯の一部(下り1860MHz〜1880MHz/上り1765MHz〜1785MHz)は「東名阪バンド」と呼ばれ、従来は以下の都府県限定で利用が許されてきた(★印が付いている府県は一部対象外の区域あり)。
茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県★、滋賀県、京都府★、大阪府、兵庫県★、奈良県★、和歌山県★
上記のいわゆる「東名阪エリア」では、NTTドコモがこの帯域をFOMA(W-CDMA)やXi(LTE)のサービスに利用している。一方で、他のエリアでは当該帯域の一部が公共業務用無線(防衛省が用いる無線)に使われており、携帯電話用としては利用できなかった。
携帯電話の通信トラフィックの増加を受けて、総務省は公共業務用無線の帯域の移行/再編を行った上で、東名阪エリア以外でもこの周波数帯を携帯電話用に改めることにした。まず同省は2018年1月から2月にかけて、4G(LTE)での利用を前提にこの帯域の割り当てを受けたい事業者を募集したものの、“応募ゼロ”だった。
そして同省は2020年11月、「第5世代移動通信(5G)システムの普及」を目的としてこの帯域を利用したい事業者を再募集する方針を固め、2021年2月から3月にかけて応募を受け付けた。名目が名目だけに、5Gで利用することが前提だが、当面の間はLTEでの利用も許容される。
東名阪エリア以外における「下り1860MHz〜1880MHz/上り1765MHz〜1785MHz」は、2018年に一度「LTE用」として基地局の開設計画の募集をかけたが、その際は応募がなかった(1.7GHz帯に含まれる他帯域には応募があった)
今回は全キャリアが募集
今回は、NTTドコモ、KDDIと沖縄セルラー電話(2社で共同:以下まとめて「KDDI」)、ソフトバンク、楽天モバイルが応募した。応募に当たっての主な絶対審査基準(必須条件)は以下の通りだ。
- 公共業務用無線用周波数帯域の移行/再編にかかる費用を2018年に割り当てた1.7GHz帯(全国バンド)を利用している2社(KDDIと楽天モバイル)と共同で負担すること
- 「特定基地局開設料」を総務省に納入する(年額31億円以上で計画書に記載)
- 認定から7年以内に5Gの「基盤展開率」を50%以上とする計画を立てること
- 「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」を踏まえた取り組み計画を盛り込むこと
- 既存キャリアに事業譲渡を行わないこと
上記の基準は各社が満たしたため、第2段階の比較審査に進んだ。
競願時審査で楽天モバイルが1位に
全応募者が絶対審査基準を満たしたため、今回は追加で「競願時審査」が行われることになった。
審査基準では、大きく「エリア展開」「サービス」「周波数の経済的価値(特定基地局開設料の設定金額)」「指定済周波数等(利用できる周波数帯の少なさ)」などに関する9項目を合計100点満点で審査した。
採点の結果、各キャリアの順位と点数は以下の通りとなった。
- 1位:楽天モバイル(85.5点)
- 2位:NTTドコモ(71点)
- 3位:ソフトバンク(58.5点)
- 4位:KDDI(36点)
保有する周波数帯域が少ないことと、サービス面での取り組みが「決め手」となり、1位の楽天モバイルの開設計画が認可されることになった。
割り当てには条件あり
このようにして、東名阪エリア以外における「下り1860MHz〜1880MHz/上り1765MHz〜1785MHz」帯域は、楽天モバイルに割り当てられることになった。ただし、認可に当たっては12個の条件が付与されている。
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