「OCN モバイル ONE」新料金プランの狙いを聞く ドコモとの連携はどうなる?:MVNOに聞く(3/3 ページ)
大手MVNO各社の値下げする動きに対抗する形で、NTTコミュニケーションズの「OCN モバイル ONE」も、4月1日に新料金を導入した。料金水準は1GB/月コースが770円(税込み、以下同)、3GB/月コースが990円と、他社と比べても見劣りしない金額に抑えられている。満を持して新料金プランを投入したOCN モバイル ONEだが、その狙いはどこにあるのか。
新料金プランは好調、純増傾向に
―― 新料金プランを投入して、流れは変わりましたか。
木藤氏 4月以降、明確に販売が戻ってきています。むしろ、以前より上向いている状況です。2月、3月は正直厳しいところがありましたが、4月に関してはかなりご注文をいただいていて、純増傾向です。
―― 発表が遅れましたが、その影響はあまりなかったのでしょうか。
木藤氏 「OCNは何もしてない」という声があり、影響があったと言えばありました。
―― 楽天モバイルがUN-LIMIT VIを導入しましたが、その影響は受けましたか。
木藤氏 一定水準の影響があります。ただし、どちらかと言うと、音声SIMではなく、低容量のデータSIMを契約していた方が0円で運用できてしまうため、一部が(楽天モバイルに)行ってしまうリスクがあります。逆に音声SIMは解約状況も見ていますが、どこか特定の会社に流れたり、解約が増えたりという傾向はありません。やはり、ドコモのエリアということが、ユーザーに響いているのだと思います。0円と770円(OCN モバイル ONEで1GBの場合)は大きな違いですが、それでも伸ばせています。
ドコモとの連携は未定
―― ドコモ側は、エコノミーの料金カテゴリーとしてMVNOと連携する意向です。dポイントを軸に連携するというお話でしたが、OCN モバイル ONEに導入する予定はありますか?
木藤氏 現状、OCN モバイル ONEとしてはgooポイントを提供しています。dポイントで連携という話があった場合は、トータルで検討し、お客さま目線で一番いいサービスを検討していきたいと考えています。
―― ドコモショップで、OCN モバイル ONEをお勧めするというような話は特にないのでしょうか。
木藤氏 現状ではありません。ただし、ドコモとの連携で言うと、goo SimsellerでドコモのSIMを販売しています。正確に言うと、スマホとのセットで、スマホの販売主体はNTTレゾナントですが、その場でドコモのサイトに飛び、SIMカードの申し込みができるようになっています。ここでスマホを買ってもらえた場合、一部キャッシュバックも受けることができます。
eSIMや5Gサービスは検討中
―― OCN モバイル ONEはフルMVNOサービスもコンシューマーに提供しています。こちらを選ぶメリットは、何かあるのでしょうか。
木藤氏 今現在で言うと、特にありません。ここは、IIJmioのように、目に見えた形でユーザーメリットを提供できていないと考えています。
―― フルMVNO回線なら、独自にeSIMをやることもできると思いますが、この点はいかがですか。
木藤氏 eSIMについては、引き続き検討している状況です。ただし、今はプレフィックスの自動付与も始めたところなので、音声SIMに注力して売っていきたいと考えています。
―― 競合他社との比較で言うと、5Gにも未対応です。この点はどうお考えでしょうか。
木藤氏 現在、検討中の段階です。先ほどお話ししたように、ライトなお客さまが多いので、そういったユーザーに適した形で5Gのサービスをやるべきかどうかを検討しているところです。低容量×5Gになってしまうので、果たしてそれを提供するのがいいのかどうかは、きちんと考えていきたいと思います。
取材を終えて:ドコモとの連携施策が気になるところ
OCN モバイル ONEの新料金プランは、シェア上位のMVNOとして“王道の値下げ”で、反響も大きかったようだ。木藤氏は純増傾向と語っていたが、SIMカードの出荷に遅延が生じるほど、契約が集中しているようだ。他のMVNOと十分渡り合える料金体系で、比較的高い通信品質を維持していることがユーザーに評価されたようだ。音声接続のプレフィックス自動付与機能にいち早く対応したのも評価できる。
一方で、同じNTTグループでドコモの子会社化も計画されているだけに、いまだ連携策を打ち出せていなのは気になるところだ。ドコモはもともと、3月にエコノミーの料金カテゴリーを発表すると明かしていたが、スケジュールに遅れが生じているようだ。dポイントの導入以上に踏み込んだ連携ができるかどうかは、注目しておきたいポイントといえそうだ。
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