総務省、携帯の音声料値下げを検討へ 従量料金は10年以上変化なし
総務省が5月31日に開催した「競争ルールの検証に関するWG(第19回)」にて、携帯電話の音声通話料金の見直しが議題に挙がった。携帯キャリアの音声通話料金は、従量課金だと30秒あたり22円(税込み)で10年以上変化がない。3キャリアは「実質的な音声通話料は下がっている」と説明した。
総務省が5月31日に開催した「競争ルールの検証に関するWG(第19回)」にて、携帯電話の音声通話料金の値下げが議題に挙がった。
携帯キャリアの音声通話料金は、ドコモ、KDDI、ソフトバンクともに従量課金だと30秒あたり22円(税込み、以下同)で10年以上変化がない。新規参入した楽天モバイルも、3キャリアと同様の通話料を設定しているが、「Rakuten Link」アプリの使用時は0円でかけ放題としている。
固定電話と比較するとどうか。携帯電話のネットワーク費用は3分あたり約7〜10円、固定電話のネットワーク費用は3分あたり約5〜9円と大差ないが、従量制の音声通話料金は、携帯から携帯にかける方が、固定電話(NTT東西の加入電話)から固定電話に掛けるより3倍以上高い。また、携帯から固定電話への通話料は3分あたり132円なのに対して、固定電話から携帯への通話料金は3分あたり66円と2倍安い。
音声通話のトラフィックは携帯と固定とも、ここ10年で減少しているものの、音声通話の利用者は約80%で横ばいとなっている。また、ドコモ、KDDI、ソフトバンクの売上と営業利益を見ると、データ伝送は減少しているが、音声伝送は増加している。
通話料金の値下げについて、ドコモ、KDDI、ソフトバンクは「定額や準定額の通話メニューを導入しており、実質的な音声通話料は下がっている」と説明。この「実質的な音声通話料」は、「音声伝送役務にかかわる営業収益」÷「総通話時間(携帯発)」で計算しているが、計算結果は非開示としている。また、料金プランは定額制、順定額制、従量制を含めて設計しているため、従量制の音声通話料を見直すことで、料金プラン全体の設計に影響が生じる恐れがあるとの説明もあったという。
MVNOに対して、各キャリアは「音声卸役務」として音声通話サービスを提供しており、30秒あたり22円をベースに、15円まで割り引きをしている。しかし「営業コストなどを考慮すると、中継接続を利用しない限り、22円/30秒を下回る料金の設定は困難」との意見がMVNOから挙がった。
中継接続とは、中継電話事業者のネットワークを経由するもので、いわゆる「プレフィックス番号」を付与することで、30秒あたり11円など安価な通話が可能になる。ただし利用するには専用の通話アプリが必要となり、着信履歴から発信できないデメリットがある。
そんな中、2021年にはドコモ、KDDI、ソフトバンクが、プレフィックス番号を自動付与する接続機能をMVNOに提供することや、音声役務料金の見直しを行う動きを見せ、「OCN モバイル ONE」など一部のMVNOサービスで、専用アプリを使わないかけ放題を実現している。
MVNOからは、「MNOが(定額制、準定額制の導入で)実質的な音声通話料を低減してきた一方で、音声卸料金を全く引き下げてこなかったことは競争上、大きな問題だ」との指摘があったが、プレフィックス自動付与機能によって、「ようやくMNOと同様の音声サービスを提供できる環境が整ってきた」と評価する声も挙がった。
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