通信モジュールとSIM/eSIMを1枚のチップへ集約する「iSIM」 ソラコムが実証実験
ソラコムは、通信モジュールとSIM/eSIMの機能を1枚のチップに集約する技術規格「iSIM」の実証実験を完了。従来のSIM/eSIMが抱える多くの課題解決につながることが期待される。
ソラコムは、6月23日に次世代SIMテクノロジー「iSIM(integrated SIM)」の実証実験について発表した。
iSIMは従来のセルラー通信で、独立したコンポーネントとして存在していた通信モジュールとSIM/eSIMの機能を1枚のチップ(SoC)に集約する技術規格。チップ内でハードウェア的にセキュアな領域を確保するため、セキュリティが高まる。さらに、物理的なSIM/eSIMが不要になるため基板スペースの削減、回路の簡素化によるモジュールの小型や軽量化、省電力化、処理能力向上、コスト削減、商流の簡素化など、従来のSIM/eSIMが抱える課題の解決につながると期待される。
今回の実証実験は、セルラーIoT向けのプロセッサを開発するソニーセミコンダクタイスラエル社、セルラーIoTデバイス向けにセキュアな認証情報を提供する「Kigen」提供元のKigen、クラウド上に構築されたセルラー向けコアネットワークと回線管理プラットフォームを提供するソラコムの3社で共同実施している。
具体的には、ソニーセミコンダクタイスラエル社が提供するセルラーIoT向けプロセッサ(Altair ALT1250)の評価ボード内へハードウェア的にセキュアな領域を確保。Kigenが提供するiSIM OS上にパーソナライズされたソラコムのキャリアプロファイルを書き込み、ソラコム独自の鍵情報の生成、キャリアプロファイル情報のモジュールへのセキュアな書き込み、セルラー通信網への接続、ソラコムの各種プラットフォームサービスへの接続が正常に動作することを確認したという。今後の商用利用に向け、引き続き実証実験に取り組んでいく。
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