Googleが考えるプライバシーの在り方 「広告にはユーザーデータを使わない」(3/3 ページ)
Web検索やマップ、カレンダーなどさまざまなWebサービスを展開するGoogleは、同意を得た上でユーザーの情報を収集、分析し、サービスに活用している。同社はサービス設計の段階でプライバシーに配慮し、世界最高水準のセキュリティを確保することを基本方針としている。Googleがユーザー同士の会話を盗み聞きすることもないという。
批判集中のFloC「適切にやりとりしながら開発している」
Google Chromeでは、プライバシー保護のための取り組みとして、広告企業などがWebサイトの訪問者を記録するために使われている「サードパーティーCookie」を廃止する方針を示している。
その代替として、Googleはオープンソースコミュニティーとともに、「FLoC(Federated Learning of Cohorts、群れの連合学習)」というWeb技術を開発している。これは、匿名ユーザーを“興味”ごとの“かたまり(コホート)”に分類し、その集合体に対して広告を発信するという仕組みだ。
このFloCはプライバシー保護の観点から批判を浴びている。その批判の急先鋒にあるのは3月に「Google’s FLoC Is a Terrible Idea」というブログ記事を公開した電子フロンティア財団だ。
財団の主張を要約すると、以下のようになる。各コホートのメンバーは特定できないかもしれないが、複数のコホートにまたがって分析すると、黒人やLGBTQ、少数民族、薬物依存者や経済的困難者などの集団的属性を反映する可能性がある。それにより、差別的な扱いにつながる恐れがあるというものだ。
FirefoxやEdgeなど、Chrome以外のWebブラウザを提供する各社は、FloCに対して消極的なスタンスをとっている。Vivaldiのように、FloCに積極的に反対するブラウザベンダーもある。
このFloCについてFair氏は「Googleはプライバシー保護技術を複数並行して開発しており、FloCはその中の1つだ。プライバシーを保護しつつ、適切な情報を提供するという取り組みだ。オープンソースのコミュニティーとも適切なやりとりをしながら、開発を進めている」と見解を示した。
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