中国メーカーのUnihertzが、なぜFeliCa対応の超小型スマホを投入したのか?(2/3 ページ)
超小型にこだわってスマートフォンを開発し続けてきた中国メーカーのUnihertz(ユニハーツ)。同社が2月に予約販売を開始したのが、おサイフケータイに対応した「Jelly 2」だ。なぜおサイフケータイに対応するほど日本市場に注力しているのか。
どのように使われるかは想定していない
―― 小型端末というとバッテリーの持ちが心配になりますが、商品ページにはiPhone SE(第2世代)と同レベルといった表現があります。実際には、どの程度持つのでしょうか。
スー氏 Jelly 2には2000mAhのバッテリーを搭載していますが、これはiPhone SEより大きな容量です。バッテリーは、特に高品質なものを選定しているので、Jelly 2は想像以上にバッテリーが持つと思います。1日以上は使い続けることができます。
―― 開発にあたり、どのようなユースケースを想定したのでしょうか。
スー氏 あくまで最も小さいスマホを作ろうとしただけで、どのように使用されるのかは想定していません。小さいですが、ビデオを見ることもできます。メインにするのか、サブ端末として使うのかはユーザー次第です。
―― ということは、特定のターゲットを想定したわけではないということでしょうか。
スー氏 製品開発で念頭に置いたのは、新しい製品を試してみたい方や既存のスマホに飽きている方です。こうしたユーザーを、主なターゲットと考えました。もちろん、商品に寄って向き不向きはありますが、小型であることによって選択肢を広げたいと考えています。
―― 一方で、スマホのトレンドは大画面化だと思います。今後も、コンパクトさにはこだわっていくのでしょうか。
スー氏 Unihertzとしては、小型のスマホに根強い需要があると考えています。引き続き、小型の端末はメインにしていきます。一方で、もう1つの主要なモデルとしてQWERTYキーボードを搭載したスマホもあり、こちらを開発する予定もあります。
Amazonで扱っている製品も含めてFOXでサポートする
―― 次にFOXに、取り扱いを決めた経緯をうかがえればと思います。
五十畑氏 Palm Phoneをやっていることからもお分かりかと思いますが、まず私自身、小型の端末に興味を持っています。Jelly 2はスペックが低い端末ですが、まずは小さいということで取り扱いを始めました。(同じFOX経由で販売している)TCLのように大きなメーカーではありませんし、カスタマーサポートも難しかったのですが、お手伝いをしながらブランドの認知を広げていければと考えています。
Jelly 2はFeliCaも載っているということで注目していました。これには、結構な時間がかかっています。SIMフリー端末の取り扱いはありますが、FeliCaが載っているものは非常に少ないですからね。
―― FeliCa搭載は、FOXからの働きかけもあったのでしょうか。
五十畑氏 Unihertzだけでなく、全てのSIMフリーメーカーとは交渉の中で、日本で出すのであればぜひ載せてほしいと要望を出しています。ですが、大体途中で諦めてしまう(笑)。オープンマーケットのサイズだとなかなか載せられないのが現実だと思いますが、よく載せてくれたと思っています。
―― FOXが扱い始めてから、MVNOにも販路が広がりました。これはFOX経由ということでしょうか。逆にAmazonで売っているものは、これまで通りUnihertz直という理解でよろしいでしょうか。
五十畑氏 ご指摘の通りです。MOQ(最低発注数量)もそんなに大きくないので、MVNOも取り扱いはしやすいと思います。ただ、中国の小さなメーカーが日本のマーケットでやるのは、今でもハードルが非常に高い。そのため、Unihertzだけでなく、他のメーカーも含めてサポートしていきたいと考えています。
例えばカスタマーサポートがそうですが、不具合があっても、Amazonだけだと返品で終わってしまい、継続ができません。弊社であれば、どういった故障があったのかを見分けて、初期不良があれば交換もできます。Amazonだけで販売するというのは簡単にできるので、やっていただいて構わない。逆に、彼らができないそういった部分をお手伝いしていくのが、私たちの仕事になります。
―― ということは、Jelly 2に関しては、AmazonでUnihertzが販売した分のサポートも、FOXでやっているということでしょうか。
五十畑氏 はい。全てうちで受けるようにしています。それをやらないと、サポートを統一できないからで、ある意味、販売の条件にもなっています。
―― ユーザーにとっては、その方が安心感はありますね。
五十畑氏 FOXは今、そのプラットフォームを作っているところです。UnihertzのようなKickstarter系の企業からお問い合わせをいただくことが多いのですが、Amazonだけは自分たちでやりたいという方や、自分たちで売りたいが家電量販店にも置いてもらいたいなど、ニーズがさまざまです。そこで、カスタマーサポートがおいくら、量販店に置いておいくらというようにして、提供していく予定です。Unihertzもそうでしたが、商品をお預かりして、キッティングまでやることもできます。
長年、カスタマーサポートをやってきていているので、自信はあります。メーカーに対しては、問い合わせを全てデータベース化してフィードバックしているので、次の製品を開発する際に、日本人がどういうところを気にするのかをつかむことができます。このプラットフォームはUnihertzだけではなく、別の会社に対しても使おうとしているところです。
―― そのプラットフォームは、スマートフォンやIoT関連製品が中心になるのでしょうか。
五十畑氏 デジタル製品全般ですね。日本に進出したい企業や、日本の企業に売りたい企業は山ほどいるので、そこをおつなぎしたり、サービスを提供したりして、さらにいいものを作れるようなフィードバックをする。日本市場は海外の方から見ると、かなり難しいので、代理店への要望も多くなります。日本進出の際にこのプラットフォームに登録していただければ、カスタマーサービスだけなのか、物流だけなのか、リアルな展開までほしいのか、その全てなのかを、お客さまに合わせて提供できます。
これができるのも、Unihertzと出会ったおかげだと思っています。最初はここだけという話から広がっていき、もう少しここまでといった形で進んできました。Amazonは自分たちでやりたいとおっしゃったときも、「分かりました」と応じています。通常はAmazonを自分でやるような場合は受けない代理店がほとんどだと思いますが、うちでは取り扱うことができます。
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