「P50 Pro」をようやく発売したHuawei “5Gなし”で今後のビジネスはどうなる?:山根康宏の中国携帯最新事情(2/3 ページ)
Huaweiの2021年フラグシップスマートフォン「P50」シリーズがようやく発売された。米国政府の制裁を受けて発売時期が遅れただけではなく、5Gへの非対応、複数プロセッサの採用、そしてバリエーションは2モデルにとどまるなど、不利な面が多い。中国国内で5Gの普及が進めば進むほど、5G非対応モデルしか投入できないHuaweiのスマートフォンは魅力が薄まってしまう。
さらに進化したカメラ性能、モノクロカメラも復活
HuaweiPシリーズの最大の特徴はカメラ性能だ。P50は5000万画素+1300万画素(超広角)+1200万画素(5倍望遠)、P50 Proは5000万画素+1300万画素(超広角)+6400万画素(3.5倍望遠)+4000万画素(モノクロ)というカメラ構成だ。どちらのモデルも2つの円にカメラを配置したデュアルマトリックスデザインを採用し、iPhoneに代表される最近のスマートフォンのカメラデザインとは大きく異なる印象を与えてくれる。
P50 Proのカメラはメインが5000万画素、ペリスコープ方式の望遠も6400万画素と高い画質を誇る。望遠は光学3.5倍だがデジタルでは100倍撮影が可能で、超広角領域からだと200倍のズーム性能を誇る。それに加えてモノクロカメラも搭載。過去にはP9シリーズからP20シリーズまでがモノクロカメラを搭載していたが、P50 Proでは4000万画素という高画質なものを搭載して復活した。これにより、解像度が高く引き締まった写真の撮影が可能になる。
なおP50シリーズのカメラはライカと提携しており、本体カメラ部分横にはLEICAの文字も記されている。また写真フィルターにもライカフィルターが搭載されている。しかし写真撮影時に挿入できるウオーターマークにはLEICAの表記はなく、P50 Proの「ライカ色」はかなり弱まっている。ライカは2021年からシャープとの提携を始めており、P50シリーズはHuaweiとライカの協業による最後のモデルとなるのかもしれない。
P50シリーズは中国のみで販売されており、出荷台数も絞られている。そのため、まだ実ユーザーの声は多くない。それでもHuaweiの中国オフィシャルストア「Vmall」の購入者評価を見ると、評価数は2700を超え、99%がポジティブと評している。筆者もP50 Proを発売直後に購入して1カ月弱使い続けているが、カメラに関して不満点はほぼないといえるほど満足感が高い。しいて言えば、倍率のワンタッチ切り替えが「広角」-「1倍」-「3.5倍」-「10倍」となっており、ちょっと望遠を撮りたいときの2倍への切り替えが手動になる、といったわずかなことが気になる程度だ。
動画は8Kに対応していないものの、8K再生環境が一般的ではないことを考えると無理に搭載する必要はないだろう。なお、4Kおよび1080pで動画を撮影する際、60fpsでは超広角レンズが使えず、ワイドに動画を撮りたいときは30fpsにする必要がある。またVLOGを簡単に撮影できる機能「スーパークリエイター」も搭載されているが、最近流行のショート動画に対応するよう縦向き動画のモードも欲しい。など、要望点もいくつかあるが、それだけP50 Proのカメラ性能は満足度が高く、さらに完成度を高めてほしいと思ってしまうのだ。
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