歴代で最も買いやすい折りたたみスマホに 「Galaxy Z Fold3 5G/Z Flip3 5G」の狙い:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
新たに発表した「Galaxy Z Fold3 5G」と「Galaxy Z Flip3 5G」は、2020年のモデルから価格を引き下げ、利用シーンを広げる防水に対応。日本ではフォルダブルスマートフォンとして初めておサイフケータイに対応する。日本での戦略もグローバルと同じで、フォルダブルのメインストリーム化を狙う。
「低価格」と「安心感向上」の2つでメインストリーム化を狙うサムスン
メインストリーム化にあたり、サムスンが打った手は大きく分けて2つある。1つが価格だ。これまでのフォルダブルスマートフォンは、真新しい技術を使って歩留まりも悪かっただけに、販売台数が少なく、他のスマートフォンより群を抜いて高かった。2020年秋冬商戦にauから発売されたGalaxy Z Fold2 5Gは本体価格が25万9980円(税込み、以下同)。Galaxy Z Flip 5Gは18万5835円と、ハイエンドモデルの中でもトップクラスの高さだった。折り曲げられる未来感や驚きはあるが、なかなか手が届きづらい価格といえる。
対するGalaxy Z Fold3 5G/Flip3 5Gは、グローバルで1799.99ドル(約19万7800円)と999.99ドル(約10万9900円)。特にGalaxy Z Flip3 5Gは1000ドルを切ったのが大きく、一般的なハイエンドモデルの価格に収まっている。メインカメラがデュアルカメラで、望遠に非対応など、フラグシップモデルと比べるとやや見劣りする部分はあるものの、Snapdragon 888を採用したハイエンドモデルとしては一般的な価格帯。他と比べて高いからという理由で、フォルダブルスマートフォンを敬遠する理由がなくなった。
現時点で日本版の価格はドコモしか発表していないため、au版の新旧価格差は算出できないが、2020年のau版に比べ、ドコモのGalaxy Z Fold3 5G/Flip 3 5Gはリーズナブルな価格設定になっている。ドコモ版の本体価格はGalaxy Z Fold3 5Gが23万7600円、Galaxy Z Flip3 5Gが14万8896円。グローバル版よりちょうど4万円ほど高くなっているが、2020年のau版よりも価格が下がっているのも事実だ。端末を返却で残債の3分の1を免除する「スマホおかえしプログラム」の案内がないが、ドコモ広報部によると、何らかの施策は「検討している」といい、ここからさらに価格や実質価格が下がる可能性もある。
もう1つは、端末の強度を上げるのと同時に、フォルダブルスマートフォンで初めて防水に対応したことだ。2020年までのGalaxy Zは、革新的な端末だった一方で、防水には非対応。ディスプレイそのものを折り曲げるという機構を採用していることもあり、強度にも不安があった。これに対し、サムスンはGalaxy Z Fold3 5G/Flip3 5Gの2機種に、従来モデルより硬い「Armor Aluminum」のフレームを採用。フォルダブルの要ともいえるディスプレイのガラスも強化しており、耐久性を向上させた。
折り曲げる必要上、どうしても本体に隙間ができてしまうため、フォルダブルスマートフォンでは難しいといわれていた防水にも対応。デザインこそ2020年のGalaxy Z Fold2 5G/Flip 5Gを踏襲してはいるものの、内部的には抜本的な改良を施していることが分かる。スマートフォンは、肌身離さず持ち運ぶものだけに、急な雨に降られることもある。キッチンなどの水場で利用することも多いだけに、ハイエンドモデルでは防水が必須になりつつある。一般のユーザーにとっては、フォルダブルだからという理由だけで諦める必要がなくなったのは、Galaxy Z Fold3 5G/Flip3 5Gをメインストリームに位置付けられた大きな理由といえる。
Galaxy Z Fold3 5Gが、Galaxy Note最大の売りだったSペンを継承したのも、メインストリーム化の象徴といえる。先に述べた通り、Sペン対応はGalaxy S21 Ultra 5Gにも広がったが、より大きなディスプレイで手書きが可能になったという意味で、Galaxy Z Fold3 5GはGalaxy Note以上に紙の“ノート”を代替できる1台になった。モバイル事業の前CEO、DJコー(コ・ドンジン)氏は、日本で初代Galaxy Foldが発表された際に、将来的なSペンへの対応やGalaxy Noteとの統合を示唆していたが、ついにそのときが来たというわけだ。
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