iOS版「新型コロナワクチン接種証明書アプリ」に更新 海外用証明書の“氏名”にまつわる問題を解消:Android版ユーザーも知るべき情報あり
デジタル庁と厚生労働省が12月20日から運用を開始した「新型コロナワクチン接種証明書アプリ」を巡って、iOS版アプリの生成する海外用接種証明書に問題があることが判明した。12月22日に公開された新バージョンのアプリで問題は解消するが、更新前のアプリで取得した海外用証明書を削除した後、再度証明書を取得することが強く推奨される。
デジタル庁と厚生労働省は12月22日、iPhone(iOS)向けの「新型コロナワクチン接種証明書アプリ」のバージョン1.0.4を公開した。更新を適用すると、海外用接種証明書における氏名の表記問題が解消する。なお、既にiOS版アプリで海外用証明書をダウンロード済みである場合、本アップデートの適用後に証明書の再発行(再ダウンロード)が推奨される。
何が問題だった? どう修正された?
このアプリでは、国内用と海外渡航用の「新型コロナウイルス接種証明書」を電子的に(デジタル形式で)発行できるようになっている。発行には有効な「マイナンバー(個人番号)カード」が必須で、海外用証明書の発行には「日本国旅券(パスポート)」も追加で必要となる。
従来のiOS版アプリで発行される海外用接種証明書は、ローマ字氏名が「Given name(名)→Surname(姓)」の順に記載されている。一方で、旅券の氏名は「Surname(姓)→Given name(名)」の順で記載されている。
そのため、iOS版アプリで発行された海外用証明書を使うと、旅券と証明書の氏名を“記載順を含めて”照合する国や地域でトラブルが発生する懸念が生じていた。
Android版アプリで発行した海外用接種証明書(左)ではローマ字氏名が旅券と同じ「姓→名」の順で記載されるが、iOS版アプリで発行した海外用接種証明書(右)ではローマ字氏名が旅券とは異なる「名→姓」の順で記載されていた
今回のiOS版アプリの修正では、新規発行される海外用接種証明書のローマ字氏名が「Given name(名)→Surname(姓)」の順に変更される。旅券と同じ順序となるため、海外における無用なトラブルを回避できるようになる。
既存の海外用証明書は削除の上「再発行」を
更新前のiOS版アプリで生成された海外用接種証明書は引き続き「有効」ではある。しかし先述の通り、旅券とはローマ字氏名の記載順序が異なるため、利用する国や地域によっては問題を引き起こす可能性がある。
更新前のiOS版アプリで海外用接種証明書を発行した人は、古い証明書を削除した上で、改めて海外用接種証明書の発行を行うことを強く推奨する。古い証明書の削除手順は以下の通りだ。
- アプリを起動
- 海外用接種証明書の概要(赤色)をタップ
- 画面内にある「ゴミ箱」のアイコンをタップ
- 警告文が出たら「削除」をタップ
古い証明書を削除が完了すると、アプリのトップ画面に戻る。その右下にある「+」ボタンをタップすると、証明書の発行画面に遷移する。「海外用」のスイッチをオンにした上で、初回と同様の手順で(再)発行手続きを進めよう。
なお、今回はiOS版アプリで発行した海外用接種証明書にのみ問題が生じている。そのため、国内用接種証明書と、Android版アプリで作成された海外用接種証明書は削除不要だ。
今後に向けた豆知識
このアプリで発行される接種証明書は、ユーザーが意図して削除するまで端末に残る仕様となっている。いわゆる「ブースター接種」(3回目以降の接種)を行った場合や接種情報の誤りを訂正した場合など、接種に関わる情報が更新された場合は、新しい接種証明書を取得(ダウンロード)する必要がある。
古い接種証明書は、混乱を招く原因となる。そのため新しい証明書をダウンロードする際は、その前に古い証明書を削除するように心掛けたい。
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