ドコモ、10月の通信障害への対策内容を公開 「回復」表現の見直しも
ドコモが10月14日、15日に発生した通信障害について総務省から受けた指導内容と、その対策内容を公開した。
NTTドコモは12月27日、10月14日と15日に発生した通信障害について総務省から受けた指導内容を公開した。
指導内容は5つの事項にわたり、再発防止策などもあわせて公開している。
位置情報サーバの切り替え工事での不具合
10月14日には、IoTサービスが利用する位置情報サーバの切り替え工事において、新設備と旧設備の仕様を十分に考慮できていなかったこと、切り替え工事の委託先とドコモの間に切り戻しの作業について齟齬(そご)があったことなどを原因としている。
仕様の考慮不足については、切り戻しの原因となったソフトウェアの更新で旧設備と新設備の差を埋める。この作業は12月に完了している。新旧の設備を比較して発見された仕様の差分は、2022年1月までにソフトウェアを更新することで対応予定だという。
旧設備で行っていた正常性試験を新設備でも行うことで、不具合の再発防止を図る。正常性試験は遠隔での試験ツールを使用し、網羅的な試験を行うとしている。
委託先との業務内容の齟齬は、双方の作業手順や役割分担を明確化した上、合意した内容を手順書に反映することで合意した。反映した手順書は双方の作業責任者が齟齬がないことを確認し、再発防止を図るという。
切り戻し作業については、新たにチェックシートを作成して最終確認を行う。これとあわせて業務委託先や社外関係者との連携強化を図る。
提供サービスへの影響の事前評価
携帯電話の通信サービスを適切に提供するため、切り替え工事の際には新旧設備の仕様や不具合発生時のサービスへの影響を事前評価し、準備することとした。
手順書に記載されていない不具合などが発生した場合、切り戻し作業の最終判断時刻を設定することとし、工事を実施する前にチェックシートに組み込むという。またユーザーからの報告が相次いだ場合やユーザーに影響が出た場合は、即座に切り戻し作業を行う。
今後切り替え工事を行う際には、新旧設備の仕様を網羅的に確認し、不具合発生を防止する。ローミングに関わるサービス切り替え工事を行う場合、ドコモ通信網での試験に加えてローミングアウトサービスにおける海外オペレータの差分を考慮した試験を実施する。また製造開発ベンダーとの仕様確認は、仕様差分が発生しないプロセスであることを確認した。これについても設備の仕様を確認することで改善する。
IoT端末からの信号の対策
携帯電話サービスが物流などのサービスに必要なインフラであることを鑑み、各種サービスを提供するIoT機器と音声通話などの通信を個別に規制する。
IoT端末から送られる大量の位置登録信号がドコモ通信網に送られることを規制する設備を導入し、今回発生した通信の輻輳(ふくそう、通信の集中)の原因となったIoT端末と携帯電話サービスのリソース共有を止め、分離する。新たに位置登録用リソースの利用状況を確認し、IoT端末用のリソースが枯渇しそうな場合にはIoT端末の位置登録信号のみを規制する。
事故発生時の発表内容
これまでの障害発生時における「回復」の表現を改め、通信規制による影響などがなくなった際に初めて「回復」として周知するルールを作成した。
特定の条件下で通信できず、端末の操作でその状況が改善する場合、その操作方法を伝えるよう周知内容のひな形を変更した。これに加えて障害の原因となった事象が改善されていても通信しづらい状況が続いている場合、輻輳が解消されるまでは不要不急の通信を控えるよう周知内容のひな形を変更した。
今回の通信障害において策定した内容は、事故の発生原因、措置状況、再発防止の詳細をMNO各社(KDDI、ソフトバンク、楽天モバイル)へ説明した。緊急点検の結果、今回の障害について、ドコモの再発防止策と同等の措置が講じられていること確認したという。
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