南海電鉄などの「Visaのタッチ決済」乗車実験に泉北高速鉄道線も参加 4月25日から全駅で対応:南海電鉄の対象駅も5月に追加
南海電鉄などが鉄道/索道線やフェリーで行っている「Visaのタッチ決済」による乗車の実証実験に、4月25日から泉北高速鉄道が加わることになった。5月からは、南海電鉄でも実証実験の対象駅が5駅増える。
泉北高速鉄道は4月25日から、南海電気鉄道(南海電鉄)、南海フェリー、三井住友カード、QUADRACとビザ・ワールドワイド・ジャパン(Visa)が実施している「Visaのタッチ決済」を使った鉄道/索道線/フェリーの乗車に関する実証実験に参加する。また南海電鉄では5月中に、この実証実験の対象駅を拡大する。
これらの取り組みによって、実証実験期間中(12月11日まで)は南海電鉄の鉄道/索道線の実証実験対象駅、泉北高速鉄道線の各駅や南海フェリーをタッチ決済(EMVコンタクトレス)に対応するVisaカードや、一部のカード会社が発行するVisaカードとひも付けた「Apple Pay」「Google Pay」対応のスマートフォン/スマートウォッチで行き来できるようになる。
泉北高速鉄道線は全駅が対象
泉北高速鉄道線では、既に南海電鉄の実証実験対象駅である中百舌鳥駅(なかもず駅:堺市北区)を含む全駅が実証実験対象となる。
南海電鉄では専用自動改札機、または専用機器を追加した自動改札機でVisaのタッチ決済を利用できるが、中百舌鳥駅を除く泉北高速鉄道線の各駅では「有人窓口」にある端末にタッチして利用する必要がある。
南海電鉄の実証実験に加わる駅
南海電鉄の鉄道線/索道線で実証実験に加わる駅は、以下の5駅。なお、具体的な利用開始日は同社のWebサイトで後日公表される。
- 南海本線
- 岸和田駅(大阪府岸和田市)
- 泉佐野駅(大阪府泉佐野市)
- 和歌山大学前駅(和歌山県和歌山駅)
- 高野線
- 北野田駅(堺市東区)
- 林間田園都市駅(和歌山県橋本市)
南海電鉄線と泉北高速鉄道線の「乗継割引」も用意(注意点もあり)
南海電鉄高野線は、泉北高速鉄道線と相互直通運転を行っている。そのこともあり、南海電鉄と泉北高速鉄道では4月25日からVisaのタッチ決済利用者を対象とする乗継割引を設定する。
この割引は中百舌鳥駅で改札を通らずに南海電鉄線と泉北高速鉄道線を乗り継ぐと自動的に適用され(直通運転の電車を含む)、両社の運賃から50円ずつ(計100円)が割り引かれる。駅の入場と出場の際に同じカード(端末)をかざそう。
ただし、この割引は南海電鉄と南海フェリーの乗継割引「スマート好きっぷ(すきっぷ)」とは併用できない。実際に適用される割引は乗車パターンによって異なるため、以下に具体例を示す。
泉北高速鉄道線の各駅(中百舌鳥駅を除く)から徳島港に向かう場合
中百舌鳥駅で改札を通らずに南海フェリーの徳島港に向かった場合、途中の和歌山港駅(和歌山県和歌山市)での下車時点で南海電鉄線と泉北高速鉄道線の乗継割引が適用される。泉北高速鉄道線の和泉中央駅から乗車すると仮定した場合、運賃は以下の通りになる。
- 泉北高速鉄道の運賃:330円−50円=280円(乗継割引適用)
- 南海電鉄の運賃:970円-50円=920円(乗継割引適用)
- 南海フェリーの運賃:2200円(正規運賃)
- 合計:3400円
一方、中百舌鳥駅でいったん改札を出た場合、中百舌鳥駅から徳島港への移動はスマート好きっぷが適用される。和泉中央駅から乗車すると仮定した場合の運賃は以下の通りとなる。
- 泉北高速鉄道の運賃:330円(正規運賃)
- 南海電鉄+南海フェリーの運賃:2200円(スマート好きっぷ適用)
- 合計:2530円
泉北高速鉄道線の各駅から徳島港まで行く場合は、面倒でも中百舌鳥駅でいったん改札口を出た方がおトクだ。ただし、泉北高速鉄道線では中百舌鳥駅を“通過する”電車もあるため、乗車する電車の停車駅には注意したい。
徳島港から泉北高速鉄道線の駅に向かう場合
南海フェリーの徳島港から泉北高速鉄道線の各駅に向かった場合、中百舌鳥駅での途中下車の有無を問わずスマート好きっぷが適用される(南海電鉄線と泉北高速鉄道線の乗継割引は適用されない)。和泉中央駅で下車すると仮定した場合、運賃は以下の通りとなる。
- 南海フェリー+南海電鉄の運賃:2200円(スマート好きっぷ適用)
- 泉北高速鉄道の運賃:330円(正規運賃)
- 合計:2530円
徳島港から泉北高速鉄道線各駅に向かう際は、中百舌鳥駅を通過する電車を使っても問題ない。
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