「iPhone SE(第3世代)」が“実質1円”で販売中 なぜここまでiPhoneが優遇されるのか?(1/2 ページ)
3月18日に発売された最新の「iPhone SE(第3世代)」が、早速「実質1円」で販売されています。実質価格は2年後の返却が前提となっています。これだけiPhoneが手厚く販売されている背景には、日本独自の理由が考えられます。
3月18日に発売された最新の「iPhone SE(第3世代)」が、早速「実質1円」で販売されています。
iPhone SE(第3世代)64GBモデルのキャリアでの販売価格はドコモが6万5230円(税込み、以下同)、auが6万5335円、ソフトバンクが6万7680円。これらの価格はApple Storeの販売価格である5万7800円より高いものの、多くの店舗ではそこに1万円ほどの割引を独自に加え、さらに2年後の返却を想定した購入プログラムを適応することで、毎月1円で利用できる「実質24円」という形態で販売しています。
あるソフトバンクショップでは6万7680円のiPhone SE(第3世代、64GB) に1万1832円の独自割引と2万1984円のMNP限定割引を適用し、残価の3万3864円を1〜24カ月目は毎月1円、25〜48カ月目は1410円/月に分割。さらに、25カ月目にソフトバンクが端末を回収することで、25カ月目以降の支払いを免除する「新トクするサポート」を利用することで、実質24円で利用できるという売り方をしています。
あるauショップでは6万5335円のiPhone SE(第3世代、64GB)に1万2614円の独自割引と2万2000円の限定割引を適用し、スマホトクするプログラムを適用すると、3万720円の支払いが免除されます。これによって割引総額が6万5334円になり、実質1円で運用可能になります。
実質価格の表記に要注意
店頭の広告で「24円」「1円」と書かれていると安く販売されているように感じてしまいがちですが、実質24円の場合は2年後の返却が前提となっています。また、MNPによる割引も含まれているため、実質24円で利用したい場合は新規契約手数料や回線の使用料金が別途かかります。
なお、回線を契約せずに端末だけを購入する「移動機物品販売」で購入する場合は、1万円ほどの店舗独自割引のみが適応されます。例えば、あるauショップで端末だけ購入しようとすると、6万5335円のiPhone SE(第3世代)に1万2614円の独自割引が適応されて5万2921円となり、Apple Storeの5万7800円よりも安く購入できることになります。
なぜここまでiPhoneが優遇されるのか
スマートフォンの激安販売はiPhoneに限った話ではなく、auの「Galaxy S21」や「Pixel 6」、ソフトバンクの「Xperia 5 III」といった機種でも同様の施策が行われています。一方で、発売直後から24円で販売されているのはiPhoneならではであり、ショップのポップを見てもiPhoneの方が前面に押し出されていることが分かります。
これだけiPhoneが手厚く販売されている背景には、日本独自の理由が考えられます。日本のiPhoneの利用率は2021年12月段階で10〜20代が3人に2人、全体でも2人に1人と諸外国と比べて非常に高く、圧倒的なシェアトップとなっています。非常に人気なiPhoneが発売日から大々的に激安で販売されるのはキャリアからすると契約につなげやすく、消費者からすると欲しい端末が安価に手に入るというお互いのメリットがあります。
また、今は3Gの停波に伴い5G対応スマホへの移行する時期でもあります。シェアが高くて周囲の人に操作方法が聞きやすく、機種ごとにUI(ユーザーインタフェース)が大きく変わらないiPhoneはガラケーからスマホデビューするのに最もふさわしいといえます。他にも、iPhoneの販売ノルマがキャリアが販売店に課せられていることも理由の1つだと推測されます。
こういったキャリアによるiPhone優遇販売は、特定の企業が利する一方で競合他社が不利となるアンバランスな販売形態につながっています。日本でiPhoneのシェアが高いのはスマホ黎明(れいめい)期にiPhoneが最も使いやすかったから、みんなiPhoneを使っているからなどの理由が挙げられますが、通信キャリアが過去に一括0円などの手法で積極的にPRすることで手厚く販売していたことが一番大きな理由だと考えられます。
結果としてiOSの囲い込み戦略も相まってiPhoneを好むユーザーが増え、キャリアはさらにiPhoneを手厚く販売するという循環構造になり、Android端末のシェアが伸びにくい状態になっているのです。
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