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Android版「Amazon」「Kindle」アプリで電子書籍の購入が不可に Googleのポリシー変更は受け入れられる?

Android版の「Amazon」アプリや「Kindle」アプリから電子書籍の購入ができなくなりました。Googleが、Google Playで配布する全てのアプリは、Google Playの課金システムを利用しなければならないとGoogle Playのポリシー改定したため。一方で、サードパーティーの課金システムを利用するテストも行っています。

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 Android版の「Amazon」アプリで、4月中旬頃からKindle本の購入ができなくなりました。Kindle本を購入しようとすると、欲しいものリストに追加し、Webサイトから購入するよう促されます。iOS版のAmazonアプリでも同様に、2011年からアプリ内でのKindle本購入ができなくなっていましたが、それと同等になった形です。Amazonは「Google Play Storeのポリシーのアップデートに準拠するため」と案内しており、4月1日に発効したGoogle Playの支払いに関するポリシー変更が影響しているようです。

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AndroidのAmazonアプリやKindleアプリからKindle本の購入ができなくなった

 さらに、Android版「Kindle」アプリからも5月26日から電子書籍の購入ができなくなりました。

 Googleは2020年9月、Google Playで配布する全てのアプリは、Google Playの課金システムを利用しなければならないとGoogle Playのポリシー改定を発表しました。準備期間として1年の猶予が設けられていましたが、その後、パンデミックの影響を考慮して2022年3月31日まで猶予が延長されていました。

 新ポリシーでは、Google Playで提供するアプリでアプリ内の機能やデジタルコンテンツなどに対する支払いには、一部の例外を除きGoogle Playの課金システムを使用する必要があるとしており、これには、アプリ内購入や定期購入サービス等も含まれています。なお、物理的な商品は対象に含まれていないため(これらについては、Google Playの課金システムを使わないようにとされています)、Amazonでの買い物そのものには影響はありません。

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改定された支払いポリシー

 このポリシー変更の影響を受けたのは、AmazonアプリやKindleアプリに限りません。4月にはAmazonのオーディオブックプラットフォームAudibleのAndroidアプリでもコンテンツ購入機能が削除されています。また、3月末には大手電子書籍プラットフォームのBookLiveもAndroidアプリ内でのストア機能を廃止しています。

 Googleはこのポリシー変更について、AndroidではGoogle Play以外の独自のアプリストアも利用できるとした上で、「Google Playでアプリを配布する開発者がデジタル商品のアプリ内課金を提供する場合、Google Playの課金システムを使用し、購入額の一定割合からサービス料を支払うことを常に要求してきました」とポリシー改定以前から、基本的な考えは変わっていないと主張。今回の変更は、支払いに関するポリシーの文言を明確にしただけだとしています。

 AndroidのAmazon MusicアプリやPrimeビデオアプリでも、既にレンタル・購入ができなくなっており、 AmazonショッピングアプリやKindleアプリと同様に、ブラウザ経由でレンタル・購入を行う必要があります。Androidの場合、Amazonは独自のAmazon App Storeを展開しているので、今後、Amazon関連のアプリはこちらの利用を推進するかもしれません。Microsoftと提携し、Windows 11上でもAmazon App Storeを利用するβテストが一部国と地域で開始されており、こちらにかじを切っても不思議はなさそうです。

 ただし、このポリシー変更に関しては批判が多かったのか、Googleは新ポリシー発効の直前となる3月23日(現地時間)に、サードパーティーの課金システムを利用するパイロットプログラムを発表しています。まずはSpotifyと提携し、ユーザーが課金システムを選択する仕組みが機能するかなどのテストを行うとのことです。

 韓国ではGoogleとAppleに自社決済システムの利用を義務付けることを禁止する法案が成立したことを受け、サードパーティー課金システムの利用を認めています。なお、サードパーティーの課金システムを利用した場合でも、通常よりも4%低くなるものの、Google Playの利用手数料は徴収されます。

 同じく、自社課金システムの利用を義務付けているAppleも、2021年9月にデジタル版の雑誌、新聞、書籍、オーディオ、音楽、ビデオの購入済みコンテンツまたはサブスクリプションコンテンツを提供するリーダーアプリについては、自社Webサイトなどへのリンクを許可し、外部の決済システムの利用を認める方針を発表。2022年3月30日からは、新しい方針でのアプリの受付を開始しました

 GoogleやAppleなどのテック大手に対しては、各国の規制当局が独占禁止法違反の疑いで捜査や起訴を行っているケースも増えており、今後、こうした囲い込みは難しくなっていくかもしれません。しかし、各ストアを維持するために手数料の徴収が必要なことも理解できます。各社がどういう落としどころを見つけるのか、注目しておきたいところです。

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