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ワイヤレス給電規格「Qi」の語源は? どんな仕組み?:モバイルIT用語辞典
2010年頃に規格として完成したワイヤレス給電規格「Qi」。これはどのような仕組みでスマホや電子機器へ給電しているのだろうか。
ワイヤレス給電規格「Qi」は、エレコムやAnkerなどのメーカーが対応充電器を販売し、「iPhone 8」以降のiPhoneや「Google Pixel 6」「AQUOS R7」「Xperia 1 IV」などのスマホが対応している。
この「Qi」の読みは「チー」で、ワイヤレスで給電することから「気功」に由来し、「気」の中国語読みをアルファベットで表記した形だ。
送電側、受電側に電線を巻いたコイルを設置し、送電側がコイルに電気を通すことで磁力(磁界)を発生させ、受電側のコイルを近づけた際に送電側の磁界を打ち消そうとして発生する電力(誘導起電力)を利用して給電する仕組み。
規格を策定したWPCの公式ドキュメントにおける2021年1月のバージョン1.3では5V2Aの電力で給電する。Android端末では10W、iPhoneシリーズでは7.5Wの給電が可能で、充電方式は主に以下の3通りの方式が設定されている。
- 充電器側に複数のコイルを配置し、最も近いコイルから送電する「コイルアレイ方式」
- コイルの中心部に磁石を配置し、受電側の端末を引き寄せる「マグネット方式」
- 端末側のコイルを検出し、送電側のコイルを動かして送電する「ムービングコイル方式」
上記のうち、Ankerではコイルアレイ方式とマグネット方式、エレコムは手動で給電位置を調整する方式を採用している。また2020年11月にトヨタ自動車が発売した車両「クラウン」には、パナソニックが開発したムービングコイル方式の充電器を搭載していた。
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