NTTグループ結集でXR体験を刷新 ドコモ新会社「NTTコノキュー」の狙い(1/3 ページ)
NTTドコモは、XR分野の新会社「NTT QONOQ(コノキュー)」の事業を10月1日に開始すると発表した。9月28日に実施した記者会見では新会社の展望を紹介した。
NTTドコモは、XR分野の新会社「NTT QONOQ(コノキュー)」の事業を10月1日に開始すると発表した。9月28日に実施された記者会見では、NTTコノキューの丸山誠治社長が登壇し、新会社とXR産業の展望を語った。
NTTグループ結集のXR新会社
NTTコノキューは、2022年6月に「XR事業企画株式会社」として設立された法人で、事業開始に合わせて社名を変更する。NTTドコモが100%出資する完全子会社となる。NTTグループの中でXR事業を担う会社と位置付けられており、これまで「NTT XR」というブランドで展開してきたNTTグループ各社のXR関連事業を集約して、運営を担当する。
営業面ではNTTグループ各社と協力。NTTドコモの顧客基盤やdポイント会員基盤や、NTT東西やNTTコミュニケーションズが有する国内外の営業体制を活用し、XRやメタバースの普及、促進を進めていくという。また、NTTやドコモの研究開発部門と連携してXR関連技術の新規開発も積極的に実施する。
NTT QONOQという社名は、若手社員が考案したもので、高度なネットワークによるXRの世界を追求するという「Quest over Network」、現実と仮想空間を行き交うというコンセプト、始まりの合図としての「キュー」などの含意があるという。
NTTコノキューの3つの事業領域
NTTコノキューの事業は、(1)メタバース事業、(2)デジタルツイン事業、(3)XRデバイス事業という、3つの領域に大別される。それぞれの事業領域で個人向けと法人向けの両方のサービスが検討されており、用いられるXR技術についてもVR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)などから、それぞれの事業に合わせた技術を選択する。
(1)のメタバース事業では、NTTドコモが開発したメタバースサービス「XR World」が事業の柱となる。また、NTT(持株)が運営してきたXR空間プラットフォーム「DOOR」も、NTTコノキューが事業を引き継いで運営するバーチャル空間上でのライブ配信を行うシステム「Matrix Stream」や、ドコモのバーチャルアイドルTacitly(タシットリー)もこの事業に含まれる。
(2)のデジタルツイン事業は、当初エンターテインメント領域では、位置情報ゲームのような実空間連動型のXRサービスが含まれる。また、製造業向けのARを活用した製造支援システムのようなエンタープライズ事業もこの領域に含まれる。
(3)のXRデバイス事業では、自社開発のデバイスの企画・開発を実施する。XR WorldやDOORはスマホのブラウザ上から参加できるサービス設計となっているが、専用デバイスの提供を通して、より臨場感のあるXR体験が可能という。検討中のデバイスについて、詳細は明らかにされなかったが、小型・軽量のメガネ型デバイスで、現在市場にあるVRデバイスと比べて装着感が良く、より手軽に使えるものを検討しているという。
メタバース「XR World」が目指す姿
NTTコノキューの主力サービスとなるのが、NTTドコモから引き継いだ「XR World」だ。XR Worldはマルチデバイス型メタバースサービスで、スマホのブラウザから参加できるという、導入ハードルの低さが特徴となっている。
現在はエンターテインメント領域のうち、音楽ファン向けコンテンツに特化しており、バーチャルライブの会場や、ファン同士の交流の場として利用されている。将来的にはスポーツや教育といった分野への展開も進めていきたいという。
XR Worldが目指すメタバースについて、NTTコノキューの赤沼氏は「いつでも」「みんなと」「あんしん」という3つのキーワードを用いて紹介した。上場企業のNTTグループの運営によりサービスの安全性・透明性も確保しつつ、アバターのエモート(しぐさ)によるコミュニケーションなど、ユーザー同士の交流が楽しめる場で、自分らしい表現ができるような世界を目指しているという。
メタバースとしての機能強化では、2023年4月以降に、メタバース上でアイテムなどの売買できる、マーケット機能を実施する予定。ユーザーや参加企業が自作したアイテムを自由に販売できるような場とするという。
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