壊れたスマホは「交換」よりも「修理」 iCrackedがPixelの正規修理を開始した理由:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
2015年に日本上陸した修理業者のiCrackedが、2018年に上陸したPixelの正規サービスプロバイダーとして、修理サービスを提供している。2022年5月にはソフトバンクと連携し、「あんしん保証パックネクスト」や「あんしん保証パックプラス」の適用を開始。現在は店頭修理のニーズが非常に強くなっているという。
Pixel上陸に伴い正規修理をスタート、事業の柱に拡大
価格競争に陥っていることもあり、「iPhoneだけだとつらい。Androidも増やしていきたいという思いがあった」という福島氏。一方で、AndroidはiPhoneとは異なり、メーカーや端末のバリエーションが非常に多い。過去には「サードパーティーのパーツを使ってチャレンジしようとしたが、なかなか調達が安定しない」(同)のが課題だった。これに対し、Pixelの正規修理に絞れば、バリエーションが限定され、正規のパーツも入手できる。「今は正規修理でないと(Androidの修理は)厳しい」という判断もあり、Googleとの契約を結んだ。
正規修理を手掛けたのは、「メリットがとても大きい。ユーザーに安心してもらえるのが圧倒的」だという。メーカーの修理だと、配送を挟んで数日から1週間以上の時間がかかる。預かり修理や交換だと、端末を初期化する必要も生じる。「ユーザーはデータが消えてしまうのをなんとかしたい。バックアップもあるが、Androidはやり切れていない。決済サービスもそうだが、ゲームも深刻でレベル200まで行ったのに1からやり直しということもある」。
これに対し、iCrackedに持ち込めば、データは残ったまま。修理自体も1時間ほど完了するため、「ユーザーの満足度はものすごく高い」(木戸氏)。筆者も「Pixel 6 Pro」を修理する様子を見学したが、手際がよく、修理はスムーズに進んでいった。ディスプレイ交換後は、専用ツールにつないで動作を確認する。こうした手順は、全て正規の修理マニュアルに沿っているため、安心感もある。30分もたたずに前面は新品のようになり、満足度が高いことは納得できた。
サービスが評価され、Pixelの修理はiCrackedの中で「重要な規模まで増えてきた。今はかなりのウェイトを占めている」(福島氏)。Googleに加え、KDDIやソフトバンクが販売に注力してきたことで、修理業者から見ても「ユーザーが増えているのも実感している」という。ただ、ハイエンドモデルの場合、パーツの価格が高く、修理には数万円の費用がかかるケースもある。上記のPixel 6 Proの場合、画面修理にかかる金額は3万8270円。最新モデルの「Pixel 7 Pro」はさらに高額で、4万480円にものぼる。
iPhoneの場合、修理代は保証サービスの「Apple Care+」でカバーされるが、GoogleはPixelに同種のサービスを用意していない。海外では保証サービスのある国や地域もあるが、日本では未展開だ。これに対し、ソフトバンクは自社でPixelを購入したユーザーに向け、冒頭で挙げたあんしん保証パックネクストを提供。5月から、iCrackedでの修理代を全額もしくは大部分をカバーするようになった。
関連記事
- 電波法違反になる恐れも――日本に上陸したスマホ修理業者「iCracked」の問題点
スマートフォン修理業者の「iCracked」が、12月4日から東京の渋谷に第1号店をオープン。iPhoneを安価に修理できるのが特徴だが、このサービス、法的にクリアになっていない問題点がある。そこに大きく関わってくるのが「登録修理業者制度」だ。 - ソフトバンクがAndroidスマホの「即日修理」「あんしん保証パックネクスト」を提供開始 まずはPixelから
ソフトバンクは、Androidスマホ向けアフターサービスとして「即日修理」「あんしん保証パックネクスト」の提供を開始する。同社を通して販売されたGoogle Pixelを皮切りに、対象機種は順次拡大していくという。 - ドコモショップでスマホの即時修理サービスを開始 約60分で完了、Galaxyから
NTTドコモは、全国主要都市のドコモショップでスマートフォンの店頭即時修理サービスを開始。データ移行などは不要で約60分で完了し、2018年5月以降に発売したドコモのGalaxyスマートフォンから対応していく。 - 今こそ検討すべき、スマホの“補償サービス” その「種類」と「注意点」は?
4年から5年と長期で使うことも増えてきたスマートフォン。長く使っていくのであれば、画面割れやバッテリー交換などの補償について心配になる方も多いはずだ。今回はスマートフォンの補償サービスについて少し解説してみよう。 - Appleの「セルフサービス修理プログラム」、日本での提供が難しい理由
2022年4月27日(現地時間)、Appleの「セルフサービス修理」プログラムの提供が、米国で始まりました。純正部品を購入すれば壊れたiPhoneの修理をユーザー自身で行えるという内容です。日本での展開も期待したいところですが、残念ながら日本ではやや事情が異なります。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.