auの「おもいでケータイ再起動」が6年以上続いている理由 仕掛け人が語る舞台裏(1/2 ページ)
KDDIは「おもいでケータイ再起動」のイベントを開催、函館では地元紙が体験を記事化する「思い出新聞」も実施された。1万人が体験したイベントはどのように誕生したのか、仕掛け人に聞いた
KDDIは1月27日、昔のケータイを復活させるイベント「おもいでケータイ再起動」を報道陣に公開した。初の取り組みとして、地元紙の函館新聞社とコラボレーションし、「おもいで新聞」を発行する企画も実施。参加者の体験を新聞記者が取材し、新聞記事のフォーマットでオリジナル記事を制作した。
おもいで新聞は函館新聞社での開催(1月27日〜1月29日)の3日間を皮切りに、全国各地の新聞社とともに順次展開していくという。3月9日〜3月11日は秋田県秋田市にて、秋田魁新報社とのコラボレーションにて開催される予定だ。
ケータイメーカー十数社分の充電器を確保
「おもいでケータイ再起動」は、参加者が持ち込んだ電源が入らなくなったケータイ(フィーチャーフォン)を復活させるイベントだ。古くなったケータイには、使っていた人の歴史が刻まれている。イベントに参加したある男性のケータイには、10年ほど前に孫が生まれ、初めての七五三を迎える成長の記録が写真として残されていた。
数百枚の写真や、家族や友人とのやりとりが残されたフィーチャーフォンも、いつか動かなくなるときが来る。充電器がなくなってしまうこともあれば、バッテリーが劣化して起動できなくなることもある。
おもいでケータイプロジェクトでは、そんな電源が入らなくなった復活させるための体制を整えている。フィーチャーフォン時代はメーカーやキャリアによって形状が違った充電器は、撤退したメーカーも含めて十数社分を確保。バッテリーの劣化により起動しなくなった電池を一時的に復活させるための専用の機材まで準備している。
ユーザーの声から生まれた企画、体験者数は1万人を突破
KDDIにとって、おもいでケータイプロジェクトは直接利益を生む事業ではない。参加料は無料で、auユーザーでなくとも参加できる。au以外のキャリアのフィーチャーフォンも持ち込み可能(スマートフォンは対象外)。プロジェクトを統括するKDDIの西原由哲氏は、「auブランドを身近に感じていただける機会であり、KDDIの社員にとってもお客さまを身近に感じる機会になっている」と語る。
7年目を迎える「おもいでケータイ再起動」。これまで44都道府県で開催し、2023年度には全都道府県で開催を達成する見通しだ。体験者は累計で1万人を突破している。auユーザーは約半数で、他キャリアのユーザーの参加者も多い。
おもいでケータイプロジェクトは、2016年にauブランド20周年をきっかけに誕生した。その年、KDDIの「TIME&SPACE(現:KDDIトビラ)」が懐かしのケータイを紹介するWebサイト「auケータイ図鑑」を公開したところ、SNSで大きな話題を呼んだ。
「auケータイ図鑑を公開した直後から、Twitterでは大きな反響がありました。ケータイ図鑑を見た人たちが『このケータイを昔使ってた!』と、昔のケータイの写真をツイートし始めたのです」(西原氏)。
そこで、TIME&SPACEでは、投稿写真を紹介する「みんなのケータイ図鑑」を公開したところ、こちらも投稿写真が多く集まってきた。このとき、西原氏は電源が入っていない状態で写真を撮って投稿しているユーザーが多いことに気付く。「そのとき、充電器がないのだろうだろうから、イベントなどの場で用意したら喜ばれるだろうと考えたのが、このプロジェクトの発端でした」(西原氏)
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