我が子が“迷惑動画”を投稿するとどうなるのか 親子で約束してほしい3つのこと:子どもとスマホの付き合い方(1/2 ページ)
飲食店やカラオケボックス、スーパーなどで迷惑行為を働いた動画がSNSやネットニュースで拡散されています。こうした迷惑動画に映されている人は、ほとんどが若者です。なぜ彼らは迷惑動画を投稿してしまうのでしょうか。
飲食店やカラオケボックス、スーパーなどで迷惑行為を働いた動画がSNSやネットニュースで拡散されています。
回転ずしチェーン店では、しょうゆさしや湯飲みをなめ回す、甘だれにしょうゆを混ぜる、しょうゆさしに口を付けて直接飲むなどの迷惑行為が行われました。牛丼チェーン店では、テーブルに設置されている紅ショウガを直接食べたり、テーブルに故意にこぼしたりする動画が撮影されています。
カラオケボックスではソフトクリームメーカーから直接食べる人、火炎放射をして遊ぶ人など、迷惑行為だけでなく、火事になりかねない危険行為まで動画で明らかになっています。
これらの「迷惑動画」は、全て直近で撮影されたものではなく、話題に乗りたい人達が過去の動画を再投稿して炎上につながっているケースもあります。
こうした迷惑動画に映されている人は、ほとんどが若者です。回転ずしチェーン「スシロー」で迷惑行為をした少年は、本名や高校を特定され、高校へ苦情電話が殺到したことから自主退学したとも言われています。また、スシローは刑事、民事の両面から対処すると発表して警察に被害届を提出、岐阜県警は少年と撮影者ら数人を書類送検する方針を固めています。その他の迷惑動画に関しても、本名や学校名、SNSアカウントなどが特定される「身バレ」状態になっている人が多く、実際の生活にも大きな影響が出ていると推測されます。
親世代からすれば、迷惑行為をしている証拠をわざわざ顔出しで撮影し、ネットにばらまいてしまうなんて、考えにくいことでしょう。なぜ彼らは迷惑動画を投稿してしまうのでしょうか。
なぜ若者が迷惑動画を投稿するのか
迷惑動画を投稿する人達の心理を探るには、まず若者のSNSの使い方について知る必要があります。
例として、今の10代後半がどのようにSNSを利用しているかを挙げてみましょう。ほとんどが中学生あたりにスマホを持ち始め、LINEは家族や友人、小学生の同級生や部活の先輩など、実際の知り合いと連絡するためにつながっています。TwitterとInstagramにはメインアカウントとサブアカウントがあり、メインアカウントは知り合いと緩くつながり、サブアカウントは親しい友人とだけつながっています。趣味アカウントなど、情報収集用のアカウントはありますが、基本的には自分が実際に知り合っている人と交流するために利用しています。
大人の場合は、情報収集や人脈作り、ブランディングなどにSNSを活用しているケースが多いのではないでしょうか。ハッシュタグを入れて、1人でも多くの目に触れさせ、いいねやリツイートを狙います。しかし、若者は友人に見てもらうことが目的なので、ハッシュタグもほとんど付けず、公開範囲も限定して投稿しています。Instagramのフィードに投稿を残さない人も多く、24時間で非表示になるストーリーズを使ってリアルタイムでの交流に近いやりとりを行います。
YouTuberの中には「迷惑系YouTuber」と呼ばれる、迷惑行為でバズらせて報酬を得ている人達もいます。こうした行為に乗じて迷惑行為をする若者もいるかもしれませんが、ほとんどの若者は自分の知り合いの中で目立ちたい、話題になりたいと考えています。
迷惑行為をする人、それを撮影している人は、普段から一緒に遊ぶ仲間なのでしょう。仲間で撮影した動画をもっと知り合いに見せたい、一緒に笑い合いたいという気持ちでSNSに投稿します。投稿する人は本人か撮影者、共通の友人のいずれかだと思いますが、バズ狙いではないため、公開範囲を広げるような投稿方法はしていないと思います。
よく使われているのはInstagramのストーリーズで、基本的にはフォロワーに閲覧されます。しかし、いくら限定してもスクリーンショットで撮影したり、iPhoneの「画面収録」などで動画を保存したりする人がいます。保存した動画を「こいつやばい」と友達に送ったら、その友達が友達に渡したら、その先はもう他人です。
拡散力の高いTwitterやYouTube、TikTokなどに投稿されると、SNSでフォロワーの多いアカウントに見つかるかもしれません。炎上すれば、もう拡散を止める術はありません。SNSの投稿などから個人情報が突き止められ、本人の学校や親の会社に苦情の電話が殺到するようになります。やがて、トレンドブログや匿名掲示板などのサイトに記事としてまとめられ、Webメディアやテレビ局などが取り上げ始めます。内輪受けのつもりだった行為が、社会問題に発展していくのです。
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