ソフトバンク、上空で2GHz帯の電波伝搬特性を検証 通信品質が予測可能に
ソフトバンクは、上空での無線環境と通信性能の把握を目的とした2GHz帯の電波伝搬特性に関する検証を実施。上空の通信品質の予測が可能となり、通信速度や通信容量を安定的に提供する通信ネットワークの設計に役立つという。
ソフトバンクは、3月22日に上空での電波伝搬特性に関する検証について発表した。欧州で民間航空機向けの通信サービスの提供に実績があるドイツのSkyFive AGの協力を受けている。
上空と地上では電波伝搬に影響を与える周辺環境が大きく異なり、高品質な通信サービスを提供するには、基地局と通信端末の位置や高度などが通信に与える影響を考慮する必要がある。同社は2GHz帯の周波数を用いて地上に設置した無線基地局と、有人飛行機に取り付けたアンテナを介した通信端末の間で電波伝搬特性を検証した。
検証ではさまざまなユースケースを想定し、多くの条件下で電波伝搬特性のデータを取得。この検証で得られたデータを自由空間の伝搬損失モデルや、移動通信システムの規格策定を行う標準化団体「3GPP」のテクニカルリポート(TR 36.777)として発表されている上空の通信端末の伝搬損失モデルと比較/評価した。その結果、TR 36.777で定める基地局の半径や高度の範囲を超えた距離であっても、同モデルに補正をかければ電波の伝搬損失を高い精度で推定できることを確認したという。
これにより、上空における通信品質の予測が可能となり、通信速度や通信容量を安定的に提供するネットワーク設計に役立てられるとしている。
また、ソフトバンクがNVIDIAと合同で2022年に開設した研究施設「AI-on-5G Lab.」で、GPUを利用した5Gの仮想化無線ネットワークであるvRAN(virtualized Radio Access Network)からMEC(Multi-access Edge Computing)アプリの画像処理の通信接続に関するエンドツーエンド(E2E)での実機検証に成功。
無線接続した5G対応のカメラ映像を5GネットワークでAIアプリケーションと通信し、リアルタイムでの人物の検出に成功した。RANと同一のハードウエア構成でAIを活用したリアルタイムでの人物の検出にも成功している。
あわせて、EdgeCortixと低遅延で電力効率が高い無線アクセラレーターの実現に向けて、AIに適用されている高速処理かつ低消費電力に特長があるEdgeCortixのIPソリューションを活用した技術開発を実施した。
EdgeCortixが保有するDNA(Dynamic Neural Accelerator)IP技術をレイヤー1 High-PHYの処理に適用し、無線誤り訂正符号方式のLDPC(lowdensity parity-check)の符号化処理をFPGA(Field Programmable Gate Array)のボードに実装して検証した結果、約36Gbpsのスループットを確認した。これは市販のIPソリューションの公開データと比較して約10倍のスループットに相当するとしている。
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