このスマホ、レンズが伸びるぞ! Tecno「Phantom X2 Pro」の特殊ギミックに注目:山根康宏の海外モバイル探訪記
Tecnoは中国Transsion傘下でインドやアフリカにスマートフォンを展開するメーカー。「Phantom X2 Pro」はポートレート撮影を強化するため、レンズに特殊なギミックを取り入れました。それは収縮式(retractable、リトラクタブル)なレンズの搭載です。
スマートフォンのカメラはさまざまな進化を経ていますが、Tecnoの「Phantom X2 Pro」はポートレート撮影を強化するため、レンズに特殊なギミックを取り入れました。それは収縮式(retractable、リトラクタブル)レンズを搭載していることです。
Tecnoは中国Transsion傘下でインドやアフリカにスマートフォンを展開するメーカー。低価格モデルが中心だろうと思いきや、2023年2月にバルセロナで行われた「MWC Barcelona 2023」では折りたたみスマートフォンも発表しています。そちらはまたいつか紹介するとして、今回のPhantom X2 Proは1月発表のこちらも新しい製品。MWCではこれら新機種を展示していました。
スマートフォンとしての性能も高く、プロセッサはMediaTekながら上位のDimensity 9000を搭載。6.8型ディスプレイに3200万画素のインカメラを内蔵、バッテリー容量は5160mAhです。
本体サイズは72.7(幅)×164.6(高さ)×9.0(奥行き)mm、201g。伸縮カメラを搭載していますがカメラ部分全体はそれほど出っ張っていないことが分かります。また、このオレンジモデルの背面は再生繊維を使用した革風の仕上げ。インド洋から回収した廃ペットボトルが原料で、リサイクル率50%以上、再生可能素材100%の世界初の再生繊維が使用されています。海洋保護と動物保護も考慮した製品になっているのです。
背面のカメラ部分はレイアウトとデザインが独特です。レンズが収縮する構造のため、カメラ全体の台座部分は大きな面積が必要なのでしょう。メインカメラは5000万画素で、リトラクタブルな望遠カメラも5000万画素。1300万画素の超広角を加えた3眼構成です。
それではカメラで撮影してみます。写真モードでは0.6倍、1倍、2.5倍の3つの倍率が並んでいます。2.5倍を選ぶとしっかりズームされます。
2.5倍側の画面を見ると、上に「Retractable camera」と表示されています。これは2.5倍に切り替えたとき、デジタル望遠ではなく、リトラクタブルカメラに切り替わったことを教えてくれているのです。切り替えると数秒だけこの表示がでます。
実際のレンズの動きを見てみます。2つの出っ張っているレンズは、手前側が広角(1倍)、奥が2.5倍です。2.5倍に切り替えるとレンズが1mmほど出てきます。動きは機敏で一瞬で出てくるので、切り替えのタイムラグはほぼありません。収縮する構造は光学レンズの性能を引き上げ、ポートレート撮影でも美しいボケを演出できるといいます。
リトラクタブルカメラの搭載は主にコストの面からなかなか採用しにくいところですが、Tecnoが率先して製品化を行うとは「攻め」の製品開発をしているということでしょう。日本では知られていないTecnoも実は高い開発力を持っているスマートフォンメーカーなのです。
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