楽天モバイルよりも高いが勝算は? NUROモバイルが40GB「NEOプランW」を提供する狙い:MVNOに聞く(2/3 ページ)
専用帯域を設けて、大手キャリア(MNO)に迫る通信品質を実現した「NEOプラン」に「NEOプランW」が加わった。料金は3980円とMVNOの中では比較的高額になり、データ容量を抜きにすれば、MNOのオンライン専用プランをも上回る。NEOプランWの勝ち筋をどう読んでいるのか。
楽天モバイルよりも高いが、価格の優位性はどれだけある?
―― 一方で、3980円という価格は、楽天モバイルの無制限(Rakuten UN-LIMIT VIIの3278円)よりも金額が高くなります。優位点はどこにあるとお考えでしょうか。
茂木氏 高品質な通信が売りになっていることに加え、今回、NEOプランWをリリースするにあたってトリプルキャリア対応になりました。これで、より多くの方に使っていただけるようになります。ユニークな機能とユーザーに合わせているのが、NUROモバイルの強みです。そういったところをご評価いただければ、と考えています。
【訂正:2023年4月6日14時40分 一部、不正確な発言がありましたので、該当箇所を削除いたしました。】
―― その中で、3キャリア対応を求める声も多かったのでしょうか。
茂木氏 もともとバリュープラスは3キャリアに対応していたので、そういった声はありましたね。われわれの取ったアンケートを見ても、トリプルキャリア対応を望む意見が出ていました。
―― やはり、MVNOに移るとしても、転出元のキャリアは変えたくないということですか。
茂木氏 恐らく、そういうことだと推測しています。SIMロックがかかったスマホを持っている方や、自宅での電波が入りやすい/入りにくいキャリアがあるので、(おおもとの回線を変えずにMVNOに移れれば)安心感はあると思います。
NEOプランの品質を、au・ソフトバンク回線でも提供する
―― これはNEOプランに共通した話ですが、au・ソフトバンク回線も専用帯域で運用しているという理解でいいでしょうか。
石井氏 NEOプランの品質を、au・ソフトバンク回線でもご提供できるよう、専用帯域を確保しています。獲得の傾向も順調なので、今後の計画も見据えながら、高品質を維持できるよう帯域は(さらに)確保していきます。当初マーケットニーズがあったのはドコモ回線でしたが、茂木がお話ししたように、(auやソフトバンク回線で使いたいという)ニーズは表面化しています。遅れての提供にはなりますが、多くの人にNEOプランの品質を体感いただけるよう、追加することにしました。
―― ただ、3キャリア分専用帯域があると、あまりもうからなくなってしまうような印象もあります。
石井氏 高品質を維持するためには、ある程度の帯域を確保する必要がありますが、ここにはわれわれの強みであるソニーのAIを用いた最適な帯域コントロールを利用できます。そういった強みを生かしながら、コストに関してもコントロールし、ストレスフリーな回線を提供できている状況です。
―― その帯域コントロールですが、詳しくはどのような仕組みなのでしょうか。NUROモバイルが持っている全ての帯域を、料金プランに応じてAIで振り分けているというイメージですか。
石井氏 詳細はお話しすることができないのですが、NEOプランの帯域の中で、ユーザー数やトラフィック、利用状況に合わせて的確にコントロールする仕組みです。
田中氏 帯域の需要予測にも使っています。翌日から即増やすというのは物理的には難しいのですが、将来にわたって快適に使えるような取り組みになります。
ある程度容量を使うユーザーは品質も求める傾向がある
―― 発表会では、お昼や夕方でも200Mbpsというような速度が出ているデータを紹介していました。あれは昨年計測したものだったと思いますが、状況は今も同じでしょうか。
茂木氏 高品質のままご利用いただけるよう、日々ウォッチしながら継続的に帯域を増強しています。
―― ここまで品質を上げてきているという点を踏まえると、ライバルは大手キャリアでしょうか。
茂木氏 われわれはいろいろなプランを持っています。バリュープラスであれば、自分に合った容量をお得に使いたいという方ですし、NEOプランはデジタルネイティブ世代でコンテンツをたくさん使いたい方です。それぞれのターゲットに合わせてお申し込みいただけるようにしています。
田中氏 小容量の方はご自宅で光回線を使うなどして、むしろ(品質より)価格(の安さ)を重視しますが、ある程度容量を使われる方だと、同時に品質を求める傾向があります。ただ、その認知度はまだまだ足りないので、記事で取り上げていただけるのはありがたいですね。NURO光はいいのですが、モバイルはまだまだ足りない。(大手キャリアは)かなり広告宣伝をしていて、(サブブランドは)店舗もありますからね。
―― なるほど。逆にNURO光はテレビCMもよく目にしますが、ああいった形で宣伝するのは難しいのでしょうか。
田中氏 われわれとしては、品質と価格でユーザーに還元することをメインにしています。各社費用のかけ方は違いますが、(ユーザーに)一番いい形で使ってもらいたい。これは、テレビCMだけでなく、店舗もそうです。そこまで行くのは、今の段階だと難しいですね。一方、コロナ禍で社会活動は制限されましたが、NUROモバイルにとってはオンライン(での契約)が普及したことで、お申し込みされる方が増えました。NUROモバイルにとってはいい傾向なので、引き続きオンライン中心で進めていきます。
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