ドコモの「副回線サービス」は誰向け? 実際に契約して分かったこと(3/4 ページ)
6月1日、NTTドコモの「副回線サービス」(個人向け)が始まった。個人向けの月額料金は429円(税込み)となる。申し込みから実際の利用に至るまでの流れや所感をお伝えする。
最大通信速度(理論値)の300kbpsで何ができる?
さて、実際の通信速度はどうなのか。今回はiPhone 14 Pro Max(国内向けSIMフリーモデル)を用いて、auの回線にデータ通信を切り替えた上で、スピードテストを実行してみた。場所は都内近郊。結果は平日10時台で下り0.20Mbps、上り0.22Mbps、16時台で下り0.24Mbps、上り0.20Mbpsとなり、最大通信速度(理論値)の300kbpsには達しなかった。
実効速度だけでは分かりづらいはずなので、実際に何ができるのかを確認してみた。以下は、平日10時台と16時台とで大差がなく、同じような挙動となった。
まずは、iPhoneでApp Storeを開いてみた。App Storeの起動や検索は数秒程度で行えたが、App Storeで配信されているアプリの詳細や、画像、動画の読み込みには数分程度かかる。アプリの容量によってダウンロードやアップデートの速度は異なるが、試しに「au PAY」をダウンロードしてみたところ、数分が経過してもいっこうにステータスバーが変わらず、通常よりも時間がかかっている印象を受けた。「Amazon Prime Video」をアップデートしてみたところ、約2分でアップデートが完了した。
ポイント機能や決済サービスは即時利用できるのか? この点も気になるので試してみた。「dポイント」は起動とともにバーコードが表示され、ポイント残高も最新データに更新された。一方の「d払い」はそもそも起動に時間がかかり、バーコードが表示されず決済ができなかった。バーコードが表示されなければ、当然、店頭でバーコードを読み取ってもらい、決済して買い物を済ませることもできない。
では、Webページの読み込みはどうか。ITmediaのトップページへアクセスてみたところ、かかった時間はほんの数秒。記事のタイトルやサムネイルもバッチリ表示された。「Yahoo! JAPAN」は検索、オークション、ニュース、天気、スポーツなどのポータルサイトということもあり、読み込みに数分かかった。広告や記事、各種サービスのアイコンの表示が完了するまで、さらに数分とだいぶ遅い。Webサイトによってはどれくらいで読み込めるのかが異なるようだ。
昨今、スマートフォンで行政手続きをする流れが浸透しつつあるため、マイナポータルのアプリを開いてみた。ページの読み込みは数分が経過しても終わらず、トップページにすらアクセスできなかったが、少し時間がたってからアクセスすると、数秒程度で読み込めた。一方で、証明用証明書のパスワードを入力する画面へは、何度試してもアクセスできなかった。
通信障害時、副回線でSNSで情報を取得する可能性を考え、Twitterを立ち上げてみた。「おすすめ」「フォロー中」のタブの切り替えはスムーズで、最新の投稿もほんの数秒で読み込めた。ただ、Webページ同様、画像の読み込みには、さらに時間がかかる。一方で「Messenger from Meta」「LINE」におけるメッセージの送受信は問題なくできた。「Instagram」では画像の読み込みに数分程度かかった。
「YouTube」のアプリとWeb版のどちらもトップページへは数十分たってもアクセスできなかった。よって、動画の再生もできず、災害時などの情報を動画で取得することは困難だと思われる。
300kbpsには達しない実効速度はユーザーとしては物足りないし、実際に通信障害が起きた場合に役立つのか? と不安を覚えた。一方で事業者視点に立つとどうか。例えば、ドコモでの通信障害発生時にトラフィックが一斉に副回線に流れてしまうと、退避先のauの通信設備に影響を及ぼし、結果的に“共倒れ”になってしまい兼ねない。だからこそ、利用可能なデータ量が月間500MB、最大通信速度(理論値)が300kbpsとなっているのだろう。当然だが、ドコモで障害が起き、ユーザーがauに退避した場合、実効速度がさらに低下する可能性は十分ある。
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