EchoやAlexaがスマートホーム共通規格「Matter」に対応するとどうなる? Amazonが説明(2/2 ページ)
アマゾンジャパンが、AlexaやMatterに関する取り組みを説明するイベントを開催した。業界共通のスマートデバイス規格として期待を集めるMatterだが、AlexaやEchoシリーズが同規格に対応すると、どんなメリットがあるのだろうか?
Matterをより使いやすくする取り組み
Matterの普及を図るべく、Amazonでは「利用者」「(デバイスやサービスの)開発者」の双方に対する利便性向上策に取り組んでいるという。
Matter Simple Setup(MSS)
Amazonでは、通販サイト(Amazon.co.jpなど)で販売されている自社デバイスについて、購入時点でAmazonアカウントとひも付けることでセットアップ工程の一部を簡略化する「フラストレーションフリーセットアップ(FFS)」という仕組みを用意している。これをMatterデバイスに拡張すべく、同社は「Matter Simple Setup(MSS)」という仕組みを導入した。
Wi-Fi通信機能が付いているMatterデバイスの場合、通常は以下の手順でセットアップが行われる。
- Matterデバイスを設置
- Matter対応コントロールアプリに「デバイスID」を入力(またはデバイスの二次元コードを撮影)
- Matterデバイスを接続するWi-Fiアクセスポイントを選択
- Wi-Fiアクセスポイントのパスワード(暗号化キー)を入力
- デバイス固有のセットアップを続行
上記のうち、コミッショニングに関わる2〜4番の手順は特に“面倒臭さ”を感じる部分といえる。
そこでMSSでは、デバイスの出荷段階でAmazonアカウントとMatterデバイスのIDをひも付け、Echoシリーズ(またはAlexaアプリを導入したスマホ/タブレット)が当該デバイスを検出すると2〜4の手順を省けるようにしている。この仕組みは、Amazonで販売されるThread通信を行うMatterデバイスでも活用できる。
従来のFSSは「オプトアウト方式(利用を希望しない場合はチェックを外す)」だったが、MSSについては「オプトイン方式(利用を希望する場合のみチェックを入れる)」で提供される。7月4日にNatureが発売した「Nature Remo nano」が、日本におけるMSS対応デバイスの第1弾となる予定だ(記事掲載時点では非対応)。
Amazonでは、純正デバイスに対して出荷時点で一部のセットアップ情報をプロビジョニングするFFSという仕組みを用意している。MatterデバイスでもFFSを実現すべく、新たにMSSという仕組みを開発したという
コミッショナブルエンドポイント(CEP)
スマートデバイスをAlexaのスキルを介して制御する場合、仕組み上、どうしてもインターネット通信が必須となる。インターネット回線が何らかの理由で不通になると、“自宅内”でつながっているはずのデバイスを制御できないという事態も考えられる。
この問題を解決すべく、AmazonではEchoデバイスをMatterデバイスの「プロビジョナー(指示配信者)」とすることで、デバイスに“直接”指示を行えるようにする「コミッショナブルエンドポイント(CEP)」を開発した。
CEPを使ってローカルモードで制御すれば、インターネット回線の状況を問わずデバイスを迅速かつ安定してコントロールできるようになる。なお、CEP対応デバイスはAlexaスキルを介して制御することも可能なので、外出先からのコントロールも引き続き行える。
Ambient Home Dev Kit(2023年内提供予定)
開発者向けの取り組みとして、AmazonはAlexaをより活用してもらうための開発キット「Ambient Home Dev Kit」を2023年内をめどに提供する。実装を予定している主な機能は以下の通りだ。
- Alexaとサードパーティー製アプリの間でデバイス情報を共有する機能
- Alexaとサードパーティー製アプリの間でデバイスのグループ情報を同期する機能
- Alexaとサードパーティー製アプリの間でThread接続のMatterデバイスを共有する機能
これらを利用することにより、特にAlexaとサードパーティー製アプリとの間で“重複して”行う設定を減らせるようになるため、エンドユーザーの利便性が向上する。
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