NTTドコモがネットワークオペレーションセンターをメディアに公開――日本のネットワークに求められる高信頼と高品質:石川温のスマホ業界新聞
NTTドコモが、東京・品川(厳密には港区)にあるネットワークオペレーションセンターを報道関係者に公開した。このセンターは基地局の監視がメインで、通信品質のチェックは別の場所でやっているというが、災害時の安心はもちろんだが平常時に快適に使えることもにもきちんとこだわってほしいところだ。
NTTドコモは6月26日、東京・品川にあるネットワークオペレーションセンターをメディアに公開した。
この記事について
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2022年6月29日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
通常、ドコモ品川ビルでは北海道から東海までの地域を担当。関西以南は西日本オペレーションセンターが管轄している。
どちらかの施設が災害を受け、運用できなくなった場合は、もう片方がその業務を引き継げる体制がとられている。
オペーレションセンターでは、巨大なモニターが並び、基地局の状況やNHKのテレビ放送などが確認できるようになっている。
かつて、KDDIのネットワークオペレーションセンターを取材した際には結構な大きさでTwitterのつぶやきが確認できるようになっており、KDDIだけでなく他社も含めて「つながらない」という発言をチェックし、ネットワークの状況を確認していたのが印象的だった。
その後、NTTドコモのネットワークオペレーションセンターを取材した際、そうしたTwitterの監視が一切無かったので、「Twitterとかチェックしていないのですか」と尋ねたところ「別のところでチェックしている」とのことだった。
そのことをメルマガなどに書いていたら、今回、大きなモニターでTwitterをチェックするようになっていたので、もしかすると、このタイミングだけ、巨大モニターに大きく映し出したのかも知れない。
ネットワークオペレーションセンターでは、基地局がキチンと動いているか、故障していないかの確認は遠隔で行えるものの、ユーザーが高速かつ安定的に通信できているかの確認はできず、これまた別のところで品質の管理を行っているようだ。
昨今、NTTドコモのネットワーク品質に関しては、とにかく評判がイマイチだ。「この夏までには改善させる」とのことであったが、すでに7月に突入している状態だ。
今回のネットワークオペレーションセンターの取材で改めて「NTTドコモは災害時でも安心だな」という印象を抱いたのだが、やはり普段から安定的に使えないと意味がなかったりする。
データがサクサク流れないと、通信ARPUも上がらないわけで、キャリアの「ユーザーを大容量プランに移行させる」という狙いも果たせなくなる。
ユーザーがデータをバカスカ流して、容量をすぐに使い切り、使い放題プランに移行したくなるような快適なネットワークにしないことには、データ通信料収入にも影響を及ぼす。NTTドコモこそがネットワーク品質向上を早く実現したいと思っているのではないか。
関連記事
- ドコモの「副回線サービス」は誰向け? 実際に契約して分かったこと
6月1日、NTTドコモの「副回線サービス」(個人向け)が始まった。個人向けの月額料金は429円(税込み)となる。申し込みから実際の利用に至るまでの流れや所感をお伝えする。 - 夏までに待てないあなたに――ドコモの「データ詰まり」問題 今すぐできる対策まとめ
最近、SNSでは「ドコモのデータ通信が遅い(つながらない)」という声を度々目にします。特に混雑の多い地域や再開発が進む地域で顕著な現象なのですが、いったいどうしてこういうことになるのでしょうか? そしてつながらない場合はどうすればいいのでしょうか? 解説していきます。 - ドコモの「通信速度が遅い問題」、2023年夏をめどに解消へ 「瞬速5Gのエリアを伸ばす」
NTTドコモは4月26日に5Gネットワークの戦略説明会をオンラインで開いた。ネットワーク部長の引馬章裕氏が2024年の5G SAネットワークスライシング本格展開、増大するトラフィックへの取り組みなどを語った。ここ最近のつながりづらい問題についても言及し、対応策を明らかにした。 - ドコモが5Gエリアにおける「通信品質向上」を表明 6月末までに対策を実施
NTTドコモの5G通信サービスを巡って、5Gエリアの端部などで「うまく通信できない」という声が散見されるようになった。その声に応えてか、同社がこの問題に対する対策を講じる旨を表明。6月末までにネットワーク機器の設定を変更し、5G通信の品質が低下した際に、LTEネットワークへのつなぎ替えをより迅速に行うように対策する。 - ソフトバンクの「副回線サービス」で緊急時に備えてみた povo2.0やMVNOにはないメリットは?
ソフトバンクが「副回線サービス」の提供を開始した。災害時や通信障害時にau回線を使って通信できるというこのサービスは、実際の所、どうなのだろうか。契約して使ってみよう。【訂正】
関連リンク
© DWANGO Co., Ltd.