「iPhone 15/15 Pro」で変わるAppleのラインアップ戦略 無印モデルの“復権”なるか:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
iPhoneのスタンダードモデルとプロモデルの位置付けは年によって異なる。2022年のiPhone 13は進化の幅が小さかったが、iPhone 15ではそれを克服している。プロモデルはプロセッサを刷新し、カメラの新機能や素材でも差を出している。
プロモデルはプロセッサを刷新、カメラの新機能や素材でも差を出す
これに対し、「iPhone 15 Pro」や「iPhone Pro Max」はプロセッサに「A17 Pro」を採用しており、スタンダードモデルとの差別化を図っている。A17 Proは、製造プロセスが3ナノメートルに微細化しており、トランジスタ数が190億個に拡大。機械学習の処理を担うニューラルエンジンの性能が向上し、処理能力は最大で2倍に増加している。また、GPUも5コアから6コアに増加した。
ニューラルエンジンやGPUの性能向上は、iPhone 15 ProやiPhone 15 Pro Maxで実現できる機能に直結する。例えば、プロモデルにのみ採用されたハードウェアアクセラレーションの「レイトレーシング」は、その一例だ。A16 Bionicにも、ソフトウェアベースのレイトレーシングは採用されているが、プロセッサに組み込んだことで、その速度は4倍向上し、ゲームなどのグラフィックスがより表現豊かになる。
iPhone 15シリーズ共通で初めて採用されたUSB Type-Cのスペックも、プロセッサによる差が出た。4機種とも充電はUSB PDで最大27Wだが、既報の通り、データ転送速度が大きく異なる。iPhone 15、15 PlusはUSB 2.0の480Mbpsなのに対し、iPhone 15 Pro、15 Pro MaxではUSB 3.2 Gen2の10Gbpsを実現する。これは、A17 Proに専用のUSBコントローラーを搭載しているからだ。
【訂正:2023年9月20日20時00分 初出時、iPhone 15 Pro、15 Pro MaxのUSBの対応規格に誤りがありました。おわびして訂正いたします。】
プロセッサだけではないが、カメラ機能もプロモデルはiPhone 14シリーズから向上している。iPhone 15 Pro Maxに搭載される、テトラプリズム型の5倍望遠カメラはその代表的な例だ。大型化のボディーを生かし、光を4回屈曲させることで5倍もの望遠を実現しており、一般的なペリスコープ型のカメラと比べるとレンズも明るい。メインのカメラはiPhone 14 Pro、14 Pro Maxと同じ4800万画素で、ピクセルピッチも実質2.44μm、センサーシフト式の手ブレ補正が第2世代であることは変わらない。
【訂正:2023年9月16日11時20分 初出時、「センサーシフト式の手ブレ補正が第2世代に進化している」としていましたが、iPhone 14 Proも第2世代のセンサーシフト式手ブレ補正に対応しています。おわびして訂正いたします。】
さらに、メインカメラの画角を3つから選択可能になった。iPhone 14 Pro、14 Pro Maxが24mmなのに対し、iPhone 15 Pro、15 Pro Maxでは24mmに加え、28mmや35mmを選択することが可能。これまでもiPhoneでも、ズームリングを回してこうした画角を選ぶとメインカメラにデジタルズームがかかっていたが、iPhone 15 Pro、15 Pro Maxではそれをデフォルトとして設定でき、撮影の自由度が増している。実に細かな画角調整だが、レンズ交換式カメラを意識した機能はプロユースに応えるためのもの。静止画の「ProRAW」や動画の「ProRes」に対応しているのも、プロモデルだけだ。
本体にチタンを採用し、軽量化を図っているのもiPhone 15のプロモデルに共通した特徴となる。可変リフレッシュレートの「ProMotion」や、それを生かした常時表示ディスプレイに対応しているのもプロモデル2機種だけ。プロセッサ以外にも、スタンダードモデルとプロモデルの差は依然として多く残されている。
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