折りたたみスマホの「薄型軽量化」が進んだ理由 今後の差別化ポイントを考察(1/2 ページ)
折りたたみのスマートフォンもさらなる進化を遂げ、今や薄型化や大画面化の競争が行われている状態だ。今回はそんな折りたたみスマホの最前線を見ていこう
進化を続けるスマートフォンは、iPhoneをはじめとした一般的な機種だけではない。折りたたみのスマートフォンもさらなる進化を遂げ、今や薄型化や大画面化の競争が行われている状態だ。今回はそんな折りたたみスマホの最前線を見ていこう。
薄型軽量化を続ける折りたたみスマートフォン
折りたたみのスマートフォンにも、一般的な機種と同様に薄型軽量化の波が来ている。特に顕著なのは横開きになる製品だ。当初は折りたたみの機構から300gを超える重量級の機種も多かったが、2023年に入ってからHuawei、OPPO、HONORが240gを下回る折りたたみスマホを展開している。
これらの機種は、同時期に販売されていた「iPhone 14 Pro Max」が240gであることから、これよりも軽量化を目指した結果といえる。すなわち、より多くの部品を使いながらも競合の一般的な機種より軽量化したことで、一般的に「重い」と感じさせないものとなっているのだ。
確かにHuawei、OPPO、HONORの製品は触っただけでも「軽い」と感じることが多い。スマートフォンでは、10gの軽量化でも体感的にはそれ以上の変化に感じることもある。より大型の折りたたみスマホでは、もっと大きな差だと実感できるはずだ。
薄型化の技術的な背景として、まずヒンジの仕組みが大きく変わってきたことが挙げられる。「Galaxy Z Fold5」のように、自由に角度を調節できるヒンジの保持機構が、中国メーカーも当たり前のように採用するようになった。
これに加え、画面の折り目を目立たなくするためのヒンジ部のメカ機構も進化を遂げた。主流はいわゆる「ティアドロップ方式」と呼ばれるもので、画面を本体のヒンジ側に折り曲げて収容する仕組みだ。
中国メーカーの折りたたみスマートフォンはこの手の機構を採用しており、この方式でサムソンと明確に差別化を図った機種が多い。
そして、このヒンジをどれだけ薄く加工できるかが、本体の薄型化にも影響する。画面をぴったり閉じられるだけでなく、画面をヒンジ側に引き込む機構を小さくして耐久性を確保できるよう、各社がしのぎを削っている。
8月に発表されたHONOR Magic V2では231g、閉じた時の厚みが9.9mmとなるなど、閉じた状態でも一般的なスマートフォンと大して変わらない形で利用できるようになった。画面サイズだけなら「Mate X3」よりも大型の7.92型となるなど数字以上の軽量化を感じる。
薄型化競争とは別方面で競争が進むフリップタイプのスマートフォン
一方でフリップタイプの機種に関してはあまり薄型化が進んでいない。これは初期の時点でもこの手の機種の重量は200g前後と、一般的なスマートフォンと同等の重さだったことも影響している。
ただ、近年ではカバーディスプレイと呼ばれる閉じた側の画面サイズの大きさ、自由度が1つの競争軸となっている。
グローバルスタンダードとなっているサムスンの「Galaxy Z Flip」シリーズには当初、時刻や通知の表示に特化した小型のカバーディスプレイがあった。そこから「Galaxy Z Flip3」で1.8型、「Galaxy Z Flip5」で3.4型と大型化した。
これにはカバーディスプレイの利用スタイルが確立してきたことが、この方向の進化に影響している。通知や時刻の確認からセルフィー撮影、メッセンジャーアプリのクイック返信まで、さまざまな用途に用いられるようになった。
画面サイズが3型を超えてくると一般的なアプリの起動も求められるようになり、閉じた状態でのマップやYouTubeを使うなど、新たな利用価値も生まれた。
この流れはモトローラの「razr」シリーズが大きく先行していた。2019年発売の初期モデルから大型のカバーディスプレイを採用。閉じたままアプリを利用できることで機能面の不足を補った。
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