領海外でも「Starlink」を使えるように――総務省が船舶/航空機に搭載する衛星通信システムの審査基準を改正へ パブリックコメント募集
総務省が、船舶や航空機に搭載する非静止衛星通信システムの「携帯移動地球局」(移動局)の通信可能範囲を改定するための手続きを始めた。パブリックコメントの募集後、告示が改正されると日本の領海外でも「Starlink」や「OneWeb」での通信が可能となる。
総務省は12月25日、電波法関係審査基準の一部を改正する訓令案を発表した。訓令案は船舶などに搭載される「非静止衛星通信システム」の無線局について、領海外でも通信できるようにすることが盛り込まれており、12月26日から2024年1月29日まで案に対する意見聴取(パブリックコメント)を実施する。
告示案の概要
米SpaceX(Space Exploration Technologies)の「Starlink」や米OneWebが提供する「OneWeb」といった低軌道衛星を使った通信サービスは、日本の電波法では「非静止衛星通信システム」の1つとして位置付けられ、同法の無線設備規則では、Starlinkは第49条の23の5、OneWebは第49条の23の6に規定されている。
低軌道衛星を使った通信サービスは、一般的な衛星通信サービスと比べると高速な通信を行えることがメリットだ。しかし、現在の無線設備の審査基準では携帯移動地球局(移動局)の通信可能範囲を日本の領海内に限定しているため、船舶や航空機に搭載しても領海外に出たタイミングで通信できない措置を講じなければならない。
今回の告示案では、無線設備の審査基準について、船舶や航空機に搭載する移動局に関連する内容を以下の通り改める。
- 通信を領海内に限る旨を削除
- 海外での通信に対応する場合は、外国の無線局への有害な混信を防止する措置を講じる要件を追加
告示案が原案通りとなった場合、船舶や航空機での移動中に領海外に出た場合でも、StarlinkやOneWebの通信を“合法的に”行えるようになる。
パブリックコメントの応募方法
今回の告示案に関する資料は、全て総務省本庁(中央合同庁舎2号館:東京都千代田区)にある総合通信基盤局 電波部 基幹・衛星移動通信課で閲覧/配布されている他、同省のWebサイトでも確認できる。また、電子政府窓口「e-Govポータル」の「パブリック・コメント」コーナーでもデータを可能だ。
パブリックコメントを提出する場合は、告示案に対する「意見公募要領」をよく読んだ上で、以下のいずれかの方法で提出しよう(ファクシミリによる提出は対応していない)。
- e-Govの「意見提出フォーム」(※1)
- 総務省が指定するメールアドレス宛の電子メール(※2)
- 総務省が指定する住所への郵送(※3、4)
(※1)ファイルの添付には対応しない(添付が必要な場合は他の方法で提出する)
(※2)添付ファイルは「テキスト(.txt)」「Wordファイル(.doc/.docx)」「一太郎ファイル(.jtd)」に対応(メール本文を含めて最大10MBまで)
(※3)書面でコメントを提出しても構わない。ただし、場合によっては※2に規定された電子データでの再提出を求められる場合もある(規定外のファイル形式も送付可能だが、その場合は事前問い合わせが必要)
(※4)郵送の場合、最終受付日(2024年1月29日)の消印まで有効
なお、意見が1000字を超える場合は、要旨の添付(記載)も必要となる。また、個人のパブリックコメントは匿名で公表されるので、意見が公表された場合でも「身バレ」はないので安心しよう。
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