VRヘッドセットとARグラスは何が違う? メリットとデメリットを解説
VRヘッドセットとARグラスは似ているかもしれませんが、実は機能面ではかなり違います。VRヘッドセットは、装着者の視界を完全に覆ってしまうのが特徴。ARグラスは、ちょっと大きめのサングラスといった製品です。
2023年はPlayStation VR2やMeta Quest 3などのVRヘッドセット、そしてXREAL Air 2やVITURE ONE、Rokid MaxなどのARグラスが発売されるなど、VRやAR関連でもにぎやかな年となりました。そして2024年にはAppleの複合現実ヘッドセットApple Vision Proが米国で発売され、VR/AR/MR関連はますます盛り上がりを見せそうです。
そんなVRヘッドセットやARグラス、使っていない人からすると似たようなものという印象を持つかもしれませんが、実は機能面ではかなり違います。そこで今回は、VRヘッドセットとARグラスの違い、それぞれ何ができるのかについて簡単に紹介したいと思います。
没入感が高いVRヘッドセットは、スタンドアロンで使える
まずはVRヘッドセットから。2023年はMeta Quest 3が大きな話題となりましたが、VRヘッドセットの代表格といってもいいでしょう。MetaはQuest 3をVRヘッドとは呼んでおらず、MR(複合現実)ヘッドセットだとしています。ただ、大きなくくりではVRヘッドセットの範囲でしょう。
ほとんどの製品は、PCなどを接続する必要がなくスタンドアロンで利用できます。もちろん、有線・無線でPCに接続しても利用可能です。
VRヘッドセットは、装着者の視界を完全に覆ってしまうのが特徴です。目に見えるものは全てディスプレイの映像ということになります。このため、空間の広がりを感じやすく、没入感が高めです。基本的に装着中は肉眼で外の様子は確認できませんが、ヘッドセットに搭載のカメラで外部の様子を確認できるパススルー対応の機種も増えてきました。とくに、Meta Quest 3はこのパススルーが強化されており、カラー映像に対応しています。現実の風景にゲーム画面や仮想ウィンドウなどを重ねて表示でき、これがMRを名乗るゆえんでもあります。
Meta Quest 3を含め、VRヘッドセットのパススルーはカメラを通しての画像なので、場所によってはまだ若干映像がゆがむなどの問題も残っていますが、反面、画像処理により風景と映像をなじませやすく、これを生かしたゲームもリリースされています。また、ほとんどの製品が6DoFに対応。インサイドアウトあるいはアウトサイドイン方式でのトラッキングに対応しており、部屋の中を動き回ってゲームを楽しむことも可能です。
サングラスのレンズで映像を楽しめるARグラス
ARグラスは、ちょっと大きめのサングラスといった製品。サングラスのレンズの裏に映像が映るディスプレイを備えており、目の前に映像を表示します。このディスプレイ部もプリズムになっており、そのまま肉眼で周囲の様子を見ることができます。
映像が見やすいよう、周囲を暗くするためにサングラスになっているのですが、それでも明るい屋外などでは映像が見えにくくなってしまいます。このため、ほとんどの製品はメガネに後付けで装着できるカバーが付属しています。周りは見えなくなりますが、映像に没入することが可能です。
ただ、映像が目の前に表示されますが、VRヘッドセットよりも視野角が狭いので想像しているよりも大画面感は薄いです。例えば、Meta Quest3の視野角は水平110度、XREAL Air 2は46度。目の前にある大画面というよりも、目の前にある窓から奥にある画面をのぞき込んでいるという感覚です。
また、VRヘッドセットとは違いスタンドアロンでは利用できず、スマートフォンやPCと接続して使います。簡単に言ってしまうと、メガネ型のモバイルディスプレイです。スタンドアロン的な利用もできるよう、別売りとなりますがXREALであればBeam、RokidならRokid Stationなど、スマートフォン替わりのデバイスも用意されています。
専用のゲームやアプリを使うのではなく、目の前のディスプレイでスマートフォンやPCで再生している動画を楽しむ、サブディスプレイとして利用するという使い方がメインです。コンパクトで持ち運びも苦にならないので、新幹線や飛行機などでも使いやすくなっています。
目的に合わせて使い分けをしよう
スマートフォンやPC、Nintendo Switchなどを大画面で楽しみたい、出先でも手軽に使いたいというのなら、ARグラスがお勧めです。もっと没入感が欲しい、VRゲームをプレイしたいというのならVRヘッドセットを選ぶことになります。
なお、Meta Questの場合、スマートフォンの画面をMeta Quest内に表示する手軽な方法はなさそうですが、PCの画面なら「Virtual Desktop」や「Immersed」などのアプリを使えばMeta QuestをPCのディスプレイとして利用できます。Meta Quest向けのNetflixやAmazonプライムビデオのアプリもあるので、ARグラスでできることはVRヘッドセットでも大体は実現できます。
価格的にはARグラスの方が若干安いですが、全体的な機能としてはVRヘッドセットが上。あとは持ち運んで出先でも利用するかどうかを考えて選ぶといいかもしれません。
関連記事
- Apple Vison Pro、米国で2月2日発売 約50万円
米Appleは、空間コンピュータ「Apple Vision Pro」を米国市場で2月2日に発売する。米国での価格は3499ドル(約50万円)。 - Apple初のXRデバイス「Vision Pro」を現地で見た! 実物から読み取れる特徴
空間コンピューティング対応デバイスとして、同社初のヘッドマウントディスプレイ型デバイスの「Apple Vision Pro」を発表した。前面にディスプレイが採用されており、ここにユーザーの目元を表示させることが可能だ。Appleの“ある製品”からインスパイアされたと思われる部分が多かった。 - Mac向けゲーム開発者が感じた“Appleの本気” Vision Proだけじゃない革新的な発表とは?
2023年のWWDCで開催されたApple Design Awardsでは、「バイオハザード ヴィレッジ」がビジュアルとグラフィックス部門を受賞した。カプコンの開発者に、同タイトルの開発エピソードやAppleのプラットフォームに対する期待をたずねた。デベロッパーの視点で2023年のWWDCで発表された各種新機能の見どころも語ってもらった。 - スマートグラス「XREAL Air 2 Ultra」発表 iPhone 15 Proの空間ビデオに対応
中国XREALは世界最大のテクノロジー見本市「CES 2024」で、グラス型ディスプレイの新モデル「XREAL Air 2 Ultra」を発表した。価格は9万9800円(税込み)。開発者向けに8日から販売されているが、出荷は2024年3月になる見込みだ。 - スマートグラスとスマホを接続、リモコン型デバイス「XREAL Beam」発売 1万6980円
日本Xrealは、スマートグラス「XREAL Air」のワイヤレス接続を可能とするリモコン型デバイス「XREAL Beam」を発売。スマートフォンに接続せずに映像やコンテンツの閲覧が可能となる。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.