Appleがサムスンを抜いてスマホ出荷世界1位に躍り出たワケ 3位以下の競争も混とん
AppleがSamsungを抜き、スマートフォンの出荷台数シェア1位を獲得しました。Appleが四半期ベースでSamsungを抜くことはありましたが、年間通じての首位は今回が初。Samsungは、2011年から出荷台数シェア1位を守っていましたが、13年ぶりに首位を明け渡す結果となりました。
米市場調査会社のIDCは1月15日(現地時間)、2023年の世界スマートフォン市場シェアを発表しました。それによると、AppleがSamsungを抜き、スマートフォンの出荷台数シェア1位を獲得したとのことです。
これまで、Appleが四半期ベースでSamsungを抜くことはありましたが、年間通じての首位は今回が初。Samsungは、2011年から出荷台数シェア1位を守っていましたが、13年ぶりに首位を明け渡す結果となりました。
IDCによると、2023年の世界のスマートフォン出荷台数は前年比3.2%減の11億7000万台。これは通年の出荷台数としては、過去10年で最低とのことです。ただ、第4四半期には前年同期比8.5%増となっており、回復傾向にはあるとしています。
市場全体が落ち込んだため、Samsungは前年比で13.6%減、3位のXiaomiも4.7%減と出荷台数を落としています。4位のOPPOも9.9%減です。そんな中、Appleは3.7%増トップ4では唯一のプラス成長で、その好調ぶりが分かります。IDCはこの結果を、積極的な下取りオファーと無金利ローンにより、今や市場の20%を占めるプレミアムデバイスの増加傾向によるところが大きいと分析しています。
Appleは例年9月に新製品を発表するので、ここ数年、第4四半期だけはシェア1位になることが多くなっていました。2023年も第3四半期まではSamsungがトップでしたが、その時期にAppleとの差が少なく、第4四半期の出荷台数の差(Appleが850万台、Samsungが530万台)で通年で抜かれてしまったわけです。
2023年第3四半期まではスマートフォンの出荷台数はSamsungが上回っていました(Worldwide Smartphone Shipments on Track for Recovery with a Slight Decline in the Third Quarter, According to IDC Tracker)
IDCのグラフを見ると、Samsungは2023年第1四半期をピークに、通年で徐々にシェアを落としているのが分かります。逆にAppleは第2四半期からプラス成長を続けています。そして、Samsungの下落に合わせて急成長しているのが、通年でシェア5位に躍り出たTranssionです。
先進国では端末を出していないのでほぼ無名ですが、主市場としているアフリカではSamsungを超えるシェアを持っているとのこと。詳しくは山根さんの記事に書かれています。
日本ではハイエンドモデルの存在感が強いSamsungのGalaxyシリーズですが、世界に目を向けるとエントリーモデルも数多くリリースしており、これが出荷台数を底上げしていました。しかし、2023年にはTranssionにエントリーモデルのシェアを奪われ、出荷台数を落とすことになりました。
Transsionに限らず、Xiaomiも好調な他、中国市場でのHuaweiの復活や、OnePlus、Honor、Googleなどの低価格なハイエンド端末の増加など、Android市場が多様化してきていることもSamsungのシェア低下の要因とIDCは指摘しています。これまでAndroidといえばSamsung1強だったのが、さまざまなメーカーに分散することで、Samsungの市場シェアが低下しているということです。
StatCounterの2023年12月度のOSシェアではiOSが28.8%、Androidが70.48%。若干の変動はあるものの、ここ1年はおおむね3:7の割合で推移しています。年単位で見ると、iOSのシェアが少しずつ伸びてきていますが、Appleが出荷台数でトップになったからといって、すぐにiOSとAndroidのシェアが逆転するような状況ではありません。
StatCounterが発表した2023年12月度のOSシェア(Mobile Operating System Market Share Worldwide | Statcounter Global Stats)
ただ、今後Samsungがトップに返り咲くには、Appleと競合するハイエンド帯はもちろんのこと、失いつつあるエントリー帯でもテコ入れが必要な状況です。当面、世界1位のスマートフォンメーカーはAppleのものになりそうです。
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