ローチケ、アプリ再インストールや機種変更で電子チケット消失? SNSで物議 運営は「状況確認して再表示する」 背景にはチケット不正問題(2/2 ページ)
ローチケのスマホアプリがSNSで炎上している。アプリの再インストールや機種変更を行うと、ダウンロードしていた電子チケットが消失してしまうという。問い合わせによって電子チケットを再表示させられると告知が出たが……。
電子チケットの不正利用が仕様変更の背景に
ローソンエンタテインメントは、今回の仕様変更について「電子チケットの不正防止を目的に利用方法の変更を実施した」と説明している。
もともと人気チケットの転売トラブルは以前から指摘されている。国民生活センターによれば「海外の転売仲介サイトで高額チケットを購入してしまった」「SNSで転売チケットを購入して支払いをしたら、相手と連絡が取れなくなった」といった相談が近年多く寄せられているという(参考)。2019年6月にはチケット不正転売禁止法も施行された。
この数年で普及した電子チケットは、そうした不正防止が期待されるものだ。チケット画面を表示した状態のスクリーンショットによる悪用が難しい電子スタンプの導入や、同行者にチケットを分配する機能、行けなくなってしまったイベントのチケットを適正価格で公式に再販できるリセール機能などを用意するサービスも少なくない。
システムの使い勝手がサービスの評価に直結しそう
ただ、システムが複雑化の一途をたどる中で、環境によってはうまく動作しないケースも散見される。例えば、ローチケの公式チケットリセールサービスでは、注意書きとして「auのpovo、楽天モバイルのUN-LIMITなどの一部環境、またはe-SIMやデュアルSIMの一部端末にて認証機能がうまく働かない事象を確認している」として、改善に向けて調査、検討中との記載がある。
一般ユーザーにとって、モバイル回線によって固有サービスの理由に不都合が出るとしてトラブルシューティングに至るのは難しいことも考えられる。こうした部分の対策が、サービスそのものの評価につながることを事業者は念頭に置く必要がありそうだ。
今回のローチケの問題は、ユーザー側にスマホの機種変更またはアプリを再インストールした環境で電子チケットを再表示させる手段がなく、問い合わせによって再表示させられるという情報が後出しになってしまったことが事の発端だ。他社のチケット販売サービスでは、そうした手段や案内が既に整備されていたことも炎上を加速させた理由といえるだろう。
昨今の不正利用対策はいたちごっこという現状もある。日本経済新聞による2023年4月1日の報道によれば、高額転売の際に電子チケットが入った中古スマホを相手に貸し出すといった手口も横行しているという。入場の際に本人確認などを行うといった対策なども行われているが、心ない不正利用者によって、正規ユーザーの利便性が日々損なわれていくのは残念だ。
関連記事
- マイナンバーカードでチケット不正転売の抑止へ デジタル庁やぴあなどが実験
デジタル庁、ぴあ、ドリームインキュベータは9月5日、マイナンバーカードをエンタメ領域で活用する実証実験を行うと発表した。3者はイベント会場での本人確認や、酒類の提供時における年齢確認などにマイナンバーカードを活用する。他にもマイナンバーカードの活用でイベントチケットの不正販売の抑制につなげる意向が示された。 - ネットで「障害者割引乗車券」「車椅子対応指定席」を予約可能に JRのきっぷ予約サイト「えきねっと」「e5489」で
JR東日本とJR西日本が、それぞれ自社のきっぷ予約サイトにおいて「障害者割引乗車券」「車椅子対応指定席」の予約に対応する。障害者割引乗車券の予約は、マイナンバーカードを取得した上で「マイナポータル」と連携させる必要がある。 - スマホアプリで都電の「デジタル乗車券」を期間限定販売 Google PayやApple Payで決済可能
東京都交通局は都営交通初の「東京さくらトラム(都電荒川線)デジタル乗車券」を12月15日〜2024年3月10日の期間限定で販売する。利用者はスマートフォンアプリを使って乗車前にキャッシュレス決済を行う。決済方法はクレジットカード、Google Pay、Apple Payに対応する。 - JR東日本が「モバイルSuica」を使った電子チケットを試行 フリー乗車区間の利用分は“キャッシュバック”で対応
JR東日本が、モバイルSuicaを使った電子チケットサービスを試行する。カード側には情報を載せずに、いったん引き去ったプリペイド残高を後からキャッシュバックする形で形式上「フリー乗車」を可能とする。 - povo、ミスドのギフトチケット+データ追加0.5GB(3日間)を300円で提供 11月16日まで
KDDIと沖縄セルラー電話はミスタードーナツのギフトチケットと、povo2.0のデータ通信量をセットにしたトッピングを提供する。提供期間は11月10日10時〜16日23時59分。料金は1回300円(税込み)。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.