「ポケモンGO」8周年 リリース当初からブレない思い、リアルイベント開催の舞台裏をNianticに聞く(2/4 ページ)
5月の先代を皮切りに、6月にスペインのマドリッド、7月に米国のニューヨークで開催された「ポケモンGO」の大規模イベント「Pokemon GO Fest 2024」。2024年のGO FESTを、Nianticはどのような思いで開催してきたのか。そこには、リリースから8年たっても変わらない「思い」がある。
仙台の文化や歴史から着想を得て4つの生息地を決定
―― 「泉の庭園」「水音の丘」「スカイアリーナ」「星のパレード」という4つの生息地はどういうコンセプトで決めたのでしょうか?
三宅氏 全て仙台の文化や歴史など、周辺の自然環境からインスピレーションを得て4つの世界観を作っています。他に開催されるニューヨークやマドリッドとは違う、完全に別の生息地です。
スカイアリーナは競技場に配置しています。競技といえば戦う場所です。仙台市は東日本大震災で被害を受けて復興されましたが、仙台市の方にうかがうと、大震災の前と同じくらい復興したかというと、そうではない。一度大きな被害を受けたところは、復興途上の部分がまだ残っているとのことでした。復興は震災に対する戦いなので、その競技と、震災に対する戦いを掛け合わせて、「みんなで上昇していきましょう」「頑張りましょう」という思いを込めて、スカイアリーナの世界観を作りました。
水音の丘は、この生息地を設置している場所自体に、岩を重ねた丘がありますが、あの設置物自体が、七北田公園の山岳や、そこで流れている川をモチーフにして作られていたものです。水が聞こえる丘ということで、この辺の山岳や川で出会えたらいいなというポケモンを配置して、その世界観に合うデコレーションを施しました。
星のパレードは、仙台市が七夕祭りで有名なので、七夕といえば、お星様。仙台市の七夕祭りといえば吹き流しということで、仙台市のカルチュラルな文化的な装飾と、文化そのものを生かすような世界観を再現しました。今回の装飾も、仙台市からいただいた吹き流しを施しています。
泉の庭園については、あの池自体も、この周辺の自然をモチーフに作られたと聞いています。池というよりも広大な湖に見え、その周りをお花がきれいに囲んでいるので、その世界観に合うように泉の庭園という名前にして、お花畑に合うようなポケモンを出現させています。
―― それぞれの生息地のコンセプトに合ったポケモンが出現しているということですね。
三宅氏 公園を下見する段階で、サンフランシスコにいるゲームデザイナーを現地調査で連れてきて、実際に歩いて景色も見てもらって、出現させるポケモンと世界観のテーマを一緒に決めました。
―― ちなみに過去の横浜や大阪でのイベントでも、その土地に合ったポケモンを出現させていたのでしょうか?
三宅氏 過去のGO FestやSafari Zoneでは、他の地域と重複する世界観がありつつ、その土地に特化した世界観はあまり作っていませんでした。GO Festの大まかな方向性を決めた上で、3地域で割り振るという形を取ってきました。ですから、その地域に合った世界観を作ったのは今回が初めてです。
―― 都市体験も、年にちなんだテーマやポケモン出現などの工夫があるのでしょうか。
三宅氏 公園に出現するポケモンと、市街地に出現するポケモンは重複しています。公園で出現するポケモンは、仙台市の文化や環境に基づいたものをセレクトしているので、市街地でも自然と、仙台市をテーマにしたポケモンが出現します。
―― かくとうタイプとひこうタイプのポケモンをよく見かけました。仙台との関連があるのでしょうか?
三宅氏 かくとうとひこうに関しては、スカイアリーナが、復興に対する戦いと競技場での戦いを掛け合わせています。ひこうに関しては、ある一定の位置からみんなで上昇していこうというテーマがあるので選びました。公園のテーマと同じですね。
―― 仙台の方からの反響はありましたか。
石塚氏 とてもたくさん届いていると感じています。「仙台に来てくれてありがとう」という声とともに、交通機関や気候に適した服装、おすすめスポットなど、「こういう準備をしてくるといいよ」という情報を、トレーナーの方から発信しています。
通信対策はキャリアと連携して万全に 日本ならではの難しさも
―― 今回はどれくらいの参加者、キャパを想定しているのでしょうか。
Niantic広報 公園のサイズや安全性、ある程度きつくならないで、安心して楽しんでいただけるということと、近隣の方に迷惑をお掛けするほどあふれないようにすることを考えて人数制限をしています。あとはネットワークの品質も考えています。
―― 過去のイベントで、つながりにくくなる不具合もありました。そのあたりの知見は年々たまって、今回は万全の体制で臨んでいるのでしょうか。
三宅氏 心持ちは毎年万全な対策で臨んでいますが、申し訳ないことに不具合が発生してご迷惑をおかけした年もありました。少なくとも、イベントの1週間以上前にコアメンバーが現地入りして通信環境も本番通りに整えていただいた上で、通信会社様の協力を得ながら、電測(通信測定)を何度も実施しています。年々、経験は蓄積していて、これまでのデータをもとに、今回はどういうネットワークで構築しようかという話はたくさんしています。
―― 海外と日本でネットワーク構築の難易度は違うものなのでしょうか。
三宅氏 特徴は地域によってあります。例えば日本は山岳の国なので、仙台市に限らず、ある程度、道や公園でもフラットでなく丘などアップダウンのある場所が多くあります。木々が公園に生い茂っている場所もたくさんあるので、ネットワークの観点からいうと、そういった場所はチャレンジになります。自然の力でビームが遮られるところがあると、その部分の対策を強化しなければなりません。他の国になると、広い平原が広がっているような公園もありますし、日本ほどアップダウンがないところもあります。
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