「iOS 18」のパブリックβを試す ホーム画面のカスタマイズ性が大幅に向上、RCSは現時点では非対応か:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
7月17日に配信が始まったiOS 18のパブリックβを試した。ホーム画面にカスタマイズ性が高まり、アプリやウィジェットの並び替えが自由になった。Apple Intelligenceへの対応は2025年だが、AIを使った一部の機能はきちんと実装されている。
Appleは、7月17日に、iOS 18など次期OSのパブリックβ版を公開、「ベータアップデート」を有効にしているユーザーへの配信を開始した。パブリックβ版とは、開発途上のOSを一般のユーザーに使ってもらい、修正点などのフィードバックを蓄積するための仕組みだ。正式版の配信に先立ち、最新OSに搭載された機能を利用できるのがユーザーにとってのメリットになる。
以前は登録などの作業が必要だったパブリックβ版だが、iOS 16.4からは、設定アプリ上でベータアップデートを有効にするだけで、自身の端末にインストール可能になった。その意味では、β版ながら一般のユーザーでも手軽に試すことができる。
気軽な反面、バグなども残っている可能性があるため、メインの端末にインストールするのはお勧めできないが、予備のiPhoneがある人は、一足先にiOS 18の世界を体験してみてもいいだろう。ここでは、配信されたばかりのパブリックβ版をもとに、iOS 18の特徴を紹介していきたい。
カスタマイズ性が一気に高まったiOS 18、操作性にも影響あり
パブリックβ版の配信が始まったiOS 18だが、残念ながら現時点ではAIを使った「Apple Intelligence」には非対応。仮に利用できたとしても、当初は言語が米国英語のみに限定されるため、日本のユーザーが生かし切ることはできない。文章のトーンを変える機能や、絵文字を生成する「Genmoji」、パーソナルコンテキストを理解するSiriなどは、2025年までお預けになる。
これを除いたiOS 18の売りは、やはりカスタマイズ性が大きく高まったところにある。ホーム画面のアプリやウィジェットの並び替えが自由になったことだ。iOS 17までは、アプリやウィジェットが自動的に左上から配置されていた。アプリの数によっては、画面の下に隙間ができてしまうことになる。この設計は、初代iPhoneから10年以上踏襲されてきたものだ。
iOS 18ではこの自動整列がなくなった。ユーザーはアプリのアイコンを下から並べていくこともできれば、壁紙の被写体を避けるように配置することもできる。アプリがズラリと並びすぎていると、必要なものを探し出すのが難しくなるが、この方式であれば、ある程度間隔を空けてアイコンを置くことも可能。1画面に並ぶアイコンを間引きやすくなったのは、操作性の向上にも貢献する。
「Plus」や「Max」のつく大画面版iPhoneは、特に片手だと画面上部に指が届きにくかった。iOS 16でウィジェットが導入されてからは、“飾り”としてそれを配置しておくことで、頻繁にタッチするアイコンを下部に寄せられたものの、見栄えが変わったり、壁紙が覆われたりしてしまうのが難点だった。自由配置が可能になったことで、この問題がついに解消された格好だ。OSのアップデートではあるが、端末の選好にも変化を与えそうな印象を受けた。
iOS 18を紹介するサイトなどではほとんど触れられていないが、そのウィジェットを呼び出す方法も簡単になった。同バージョンから、アプリのアイコンとウィジェットがシームレスに切り替わるようになっており、ワンタッチで両方の状態を行き来できる。アイコンを配置した後、もう少し目立たせるためにウィジェットにしたり、逆にウィジェットをアイコンに戻したりといった操作が、より直感的になった。
アプリのセキュリティも強化されており、Face IDなどでロックをかけることも可能になっている。これまでは、サードパーティーアプリが個々にこうした機能を実装していたが、それをOSレベルでサポートした格好だ。プリインストールアプリの中では、「カレンダー」や「メール」「メモ」といったプライバシーに関わるアプリをロックできる。逆に、「時計」や「ショートカット」「マップ」などのアプリは、Face IDに非対応だった。また、アプリ自体を非表示してアプリライブラリーからしか呼び出せないようにすることも可能だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「iOS 18」発表 ホーム画面やコントロールセンターを刷新、アプリの非表示も可能に
AppleがWWDC24で「iOS 18」を発表。ホーム画面やコントロールセンターでより幅広いカスタマイズが可能になる。特定のアプリにロックを掛けたり非表示にしたりできる。
「iOS 18」ではホーム画面の好きな場所にアプリを配置OK 「神アプデ」の一方で「Androidの何周遅れだよ」との声も
米Appleが6月10日(現地時間)、開発者向けイベント「WWDC24」で発表し、秋のアップデートを予告している「iOS 18」。アップデート内容にアプリ位置の変更が含まれる。しかし、X(旧Twitter)では一部に冷めた意見もあるため、一体どういうことなのか少し解説する。
「iOS 18」の対応機種はiOS 17と同じ、iPhone XS/XRは今年も対応
Appleは11日(日本時間)、「iOS 18」を発表した。最新のiPhone 15シリーズから、5世代前のiPhone XS/XRシリーズまでサポートする。iPhone SEは第2世代以降がバージョンアップの対象となる。iOS 17対応機種はすべてサポートされることとなった。
iOS 18で「メッセージ」アプリがRCSに対応 Androidとも送受信可能に
米Appleが6月10日(現地時間)、iOS 18にて「メッセージ」アプリがRCS(Rich Communication Services)に対応することを発表した。RCSは、GSMAで世界的に標準化されているメッセージサービスの規格。長文のテキストや複数人でのグループチャット、画像や動画などを含むメッセージを送受信できる。
AppleのAI戦略発表はなぜ他社より大幅に遅れたのか 「Apple Intelligence」の真価を読み解く
生成AIが爆速で進化していく中、AppleがAI戦略「Apple Intelligence」を発表したのは、競合よりも遅い2024年6月だった。しかしApple Intelligenceの内容を精査していくうちに、これは非常によく練られた計画だということに気付いた。彼らが1年(もしくは数年分)の長きにわたってやってきたことと、どうしてそうしなければならなかったかを考えてみたい。







