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「Pixel 9」シリーズ3機種をじっくりと試す AIを駆使したカメラ機能は健在、ただし進化の余地もあり石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

発売に先立ち、Pixel 9/9 Pro/9 Pro XLを試用することができた。フォルダブルスマホというやや特殊な立ち位置のPixel 9 Pro Foldを除いた、Pixel 9シリーズの主力モデル3機種に当たる。ここでは、その特徴や実際の使用感、Pixel 9シリーズに新たに搭載されたAI関連の新機能をチェックしてきたい。

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編集マジックも進化、ただしAI機能は今後の進化にも期待か

 もう1つのAIを使った機能が、「編集マジック」の新機能にあたる「オートフレーム」だ。こちらは、正確に言えば端末そのものの機能ではなく、「Googleフォト」のいち機能になる。処理もクラウド上で行っているため、今後、他の端末にも開放される可能性はあるが、現時点ではPixel 9シリーズ専用の機能に位置付けられている。

Pixel 9
編集マジックは、画角を広げることが可能なオートフレームに対応した

 これは、写真の“外側”を生成AIで書き足す機能。他社のスマホにも同様の機能があり、例えばサムスン電子の「Galaxy AI」では、角度補正で足りなくなった外側を生成AIで継ぎすことができる。Xiaomiのハイエンドモデルにも、「AI拡大(AI Expansion)」が搭載されており、トリミングとは逆に写真の枠を広げることが可能だ。メーカーごとに実装方法は異なるが、写真を元にしながらその外側を生成AIで書き足すという点は共通している。

 Pixel 9シリーズのオートフレームは、これらとは少々異なり、編集マジックで機能を呼び出すと、自動的にAIが画角を広げた写真の候補を4枚提示する仕様だ。上記の2例とは異なり、ユーザー自身で画角を決定することはできない。何回か試してみたが、おおむね傾向は共通しており、少しだけ外側を追加している場合には、かなり自然な仕上がりになる。中には、言われなければAIで拡張したと気付かれないようなものもあった。

Pixel 9
オートフレームを選択すると、自動的に4枚の写真ができる。ユーザー側が画角を設定することはできず、提示されたものの中から選ぶ仕組みだ
Pixel 9Pixel 9 加工前(左)と加工後(右)。落書きを増やすことで、あたかも最初からそこに壁やパイプがあったかのような絵に仕上がった。ただし、看板の文字はやや適当。よく見るとAIで作ったことも分かる
Pixel 9
Pixel 9
加工前(上)と加工後(下)。文字や看板などが入り込まないシンプルな写真の方が成功しやすい。ただし、実際の道路や建物とは異なる物体が生成されている上に、よく見るとモデルのパンツも履いていたものとは異なる

 一方で、大胆に周囲を広げているような写真は、あきらかに不自然になることも。謎のオブジェクトが生成されてしまったり、街中に突如廃墟のような建物が現れてしまったりといったケースもあった。ユーザー自身で画角調整できないため、想定通りの写真が出るまで繰り返し試すしかないのが難点だが、使い方は簡単で手軽に試せるのがいい。その意味では、AIになじみのないユーザーにも優しい機能といえそうだ。

Pixel 9
この写真は失敗例。道路に巨大な木が生えてしまった。ビルなどが多いと、謎の建物が生成されてしまうこともある

 ただし、AI関連の機能に関しては、Pixel 8シリーズとの差分がやや少ない印象も受ける。これは、新機能の一部が日本語に対応していないことにも由来する。例えば、撮りためておいたスクリーンショットを整理し、AIで必要な情報をすぐに呼び出せる「Pixel Screenshots」は、日本版のPixel 9シリーズに搭載されていない。電話の内容を書き起こして要約する「Call Notes」も同様。さらには、画像生成アプリの「Pixel Studio」も日本での提供が始まっていない。

 Pixel 9シリーズのメモリはノーマルモデルが12GB、プロモデルが16GBと大きく増量された。これらは主にオンデバイスAIを実行するためといわれているが、肝心のAIがなければ宝の持ち腐れになりかねない。今は、AIのための“器”が提供されているにすぎず、その上に盛り付けられる“料理”がお預けになっているような状態だ。ノーマルモデルと同じサイズのPixel 9 Proが登場した新味はある一方で、使っていくと、既視感を覚えることも事実。Pixelの売りはやはりAIだと再認識したのと同時に、未対応の機能の早期導入を期待したい。

(製品協力:グーグル合同会社

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