iPhone 16シリーズが対応する「Wi-Fi 7」って何? 今までのWi-Fiとの違いをサクッとチェック!(2/2 ページ)
あまり注目されていないような気がするのですが、9月20日に発売されたiPhone 16シリーズは、Appleのハードウェアとしては初めて「Wi-Fi 7」に対応しています。そもそもWi-Fi 7って何なのでしょうか……?
Wi-Fi 7はWi-Fi 6/6Eと何が違う?
Wi-Fi 7は、Wi-Fi 6/6Eをさらに改良した規格で、理論上の最高通信速度向上だけでなく、電波の弱い場所や接続機器が多い環境での実効通信速度(スループット)の改善を図るための仕組みが取り入れられています。主な仕組みとしては、以下のものがあります。
- 最大320MHz幅での通信
- Wi-Fi 6/6Eにおける「最大160MHz」から2倍に
- 6GHz帯の通信で利用可能
- 「Multi-Link Operation(MLO)」のサポート
- 「同時(MLMR/Multi Link Multi Radio)モード」では、複数の周波数帯の電波を束ねて通信することで実効通信速度を向上できる
- 携帯電話の「キャリアアグリゲーション(CA)」と同等技術となる
- 「切り替え(MLSR/Multi Link Single Radio)モード」では、シームレスに複数の周波数帯の電波を切り替えることで遅延を抑制可能
- 「同時(MLMR/Multi Link Multi Radio)モード」では、複数の周波数帯の電波を束ねて通信することで実効通信速度を向上できる
- QAM(直交位相振幅変調)を高度化
- IEEE 802.11axの「1024QAM」から、4倍の「4096QAM」に
- 同一条件下における理論上の通信速度を最大20%向上できる
- 「512 Compressed Block ACK」を採用
- 「Block ACK」は、無線通信を正常に行ったことを告知する「ACK(アクノレッジメント)」信号をひとまとめ(ブロック)にして送る仕組み
- ACK信号を圧縮して伝送することで無駄な通信(オーバーヘッド)が削減され、実効通信速度が改善される
- 「Multiple-RU」の導入
- 「Resource Unit(RU)」は、クライアント1台1台に割り当てる電波帯域幅を調整する機能で、Wi-Fi 6/Wi-Fi 6Eで初導入された
- Multiple-RUは、1ユーザーに複数のRUを割り当てられる仕組みで、RUとRUの間にできる「すき間」も利用可能
- RUを無駄なく使うことで実効通信速度を改善可能
ただし、上記の機能改善はアクセスポイント(Wi-Fiルーター)とクライアント機器(スマートフォンやPC)の双方が対応していると初めて効果が出ます。これは従来の無線LAN規格でも通ってきた道です。
また、「Wi-Fi 7対応」だからといって上記の全てに対応するとは限らないことにも注意が必要です。規格上は「QAMの高度化」への対応は必須ですが、「MLO」や「320MHz幅の通信」への対応はオプション扱い(実装しなくても構わない)とされています。
iPhone 16シリーズやPixel 9シリーズはWi-Fi 7に対応をうたっているものの、仕様書上はアンテナが2x2 MIMOに対応していること以外の詳細仕様は分かりません。先述の通り、少なくともQAMの高度化には対応しているので、(理論上)同じ条件であればWi-Fi 6/6Eの最大1.2倍の速度で通信可能ということだけは分かります。アクセスポイントはもちろんですが、スマホを始めとするクライアント機器も、もうちょっと無線LAN回りの仕様を詳しく書いてほしいですよね……。
ともあれ、Wi-FiルーターをWi-Fi 7対応品に買い換えるとiPhone 16シリーズならより快適な通信を行えることは間違いありません。AndroidスマホではハイエンドモデルからWi-Fi 7対応が進んでいますし、PC本体でもノートPCを中心にWi-Fi 7対応モデルが増えてきています。
お財布との相談にはなりますが、これから無線LAN対応機器を買うなら「Wi-Fi 7対応」を選ぶポイントに据えてもいいのかもしれません。
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